日本の個人投資家はイスラム圏とアフリカをもっと知るべき

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

日本の個人投資家はイスラム圏とアフリカをもっと知るべき

今週、海外投資家のためのサイト「ワールドインベスターズ.TV」を主宰する石田和靖さんにお会いしました。石田さんは、ご自身もアジア、アメリカだけではなくアラブ、アフリカ地域に出かけ、精力的に取材をしている海外投資のスペシャリスト。世界中の情報を動画にまとめてインターネットで配信しています(私も番組に出演させていただいています)。

海外投資情報が毎月30タイトル以上更新「ワールドインベスターズ.TV」http://www.worldinvestors.tv/index.php

■ 日本における「海外」とは、アメリカと中国のこと?
「ワールドインベスターズ.TV」の情報を見ていて思うのは、日本国内で紹介される海外情報はかなり偏っているということです。例えば毎日ニュースで紹介されているのは、アメリカや中国の情報が中心。

先進国以外の地域は、事件や問題がある時だけしか報道されません。

これは、宋文州さんのメールマガジンでアフリカ出身のゾマホンさんも書いていることですが、戦争が起きている国はよく知っていて、平和な国は知らないから、危険だと勝手に決め付けてしまうのです。

ゾマホンさんのコラムが読める「宋文洲のメールマガジン」バックナンバーhttp://www.softbrain.co.jp/mailmaga/list.html

その結果、アフリカと言えば、貧困、内乱、疫病といった悪いイメージになっているのです。確かにそういう事実もありますが、一方で中国は天然資源の獲得のために積極的にアフリカに投資を行い、関係を深めているというような現実もあります。

実は石田さんも、今年イラクに取材に出かけたらしいですが、北部の街であればテロの心配もなく夜の街も歩いて平気だった、と言っています。イラク全土が、バクダッドのような危険な街になっているわけではないのです。

■ 単純化しすぎると見えなくなってくるもの
物事をわかりやすくのには単純化するのが一番です。大量の情報を限られた時間でさばいていくために、YesかNoか、という二者択一で決め付けてしまうと、その中に本質的な情報が埋もれてしまう危険性があります。

そうならないためには、時間がある限り自分でできるだけ情報元に当たって事実を確認するという習慣をつけること、そして信頼できる複数のメディアと付き合って、情報のバイアスがかからないように防衛することが必要です。
■ 日本の地図からは見えないことが世界で起こっている
日本の地図は、普通は日本が真ん中にあって右側にアメリカ大陸、左側にユーラシア大陸とアフリカという配置になっています。しかし、別の地図で見ると日本は「世界の辺境」に見えることがあります。

インドを中心に見ると日本は世界の辺境になる
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2009/news9102.htm
例えば、GCC(湾岸協力会議、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビアの6カ国で構成)諸国はヨーロッパ、アフリカ、そしてアジア地域の真ん中にあるという地の利を利用し、貿易のハブとして存在価値を高める戦略を取っています。あるいはアフリカとユーロ諸国や中国・インドとの関係も深まっていますが、そのようなことは日本から見ていてもほとんど何も見えません。

特定の先進国の情報だけではなく、新興国を含めたグローバルな情報収集を意識する必要があります。それには残念ながら国内の情報だけではもはや不十分です。

■ 投資対象としてのイスラムとアフリカにもっと目を向けよう
石田さんから話を聞いているうちに、アフリカへの投資に何だか興味が沸いてきました。日本からはわかりにくく、投資対象へアクセスしにくい地域であっても、ファンドを使って投資をしていくのであれば、個人投資家でも可能です。

MENA(Middle East and North Africa、中東・北アフリカ地域、ミーナ)と呼ばれる地域にも資産の一部を配分しておく。投資対象としても、日本の個人投資家はもっとイスラム圏の国々やアフリカに目を向けても良いと思います。
石田さんとのお話は他にも書ききれないくらいの盛り上がりだったのですが、そちらは、これからまとめてマネックス証券のWebでご紹介する予定です。
今回の話のまとめ---------

■ 日本国内に入ってくる海外情報は偏っている

■ 日本を中心にモノを見ていると見逃してしまうものがある

■ 注目されていないイスラム圏、アフリカに注目してみよう

では、また来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp/

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