2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
投資信託を使って資産形成している人が着実に増えています。毎月メールで対談動画をお送りしているマネックスつみたてクラブも、会員数は右肩上がりの傾向が続いています(今回のゲストの方には、リーマンショック後の投資信託を使ったサバイバル投資術を教えていただきました)。
月替わり対談ゲストが熱く語る!マネックスつみたてクラブ(無料メール)
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2009/news906c.htm
しかし、投資信託の商品選択に関してはまだ誤解をしている人が多いようです。そこで経験者でも間違えやすい7つのポイントをまとめてみました。読者の皆さんも、早速チェックしてみてください。
<誤解1> 設定来の値上がりの大きなファンドがよい
値上がり率が大きいから良いファンドだと思うのは誤解です。そもそも設定されたタイミングによって、そのファンドの設定来の実績は変わります。今年の3月に設定されたファンドは恐らく値上がりしているものが多いでしょうし、2~3年前に設定されたファンドは昨年の金融危機の影響で下がっているはずです。設定来の上昇率とファンドのクオリティには直接の関係はありません。
<誤解2> 同じ期間で上昇の大きなファンドがよい
タイミングによって成績が変わるなら、同じ期間で比較すればよい、と思うかもしれませんが、それも誤解です。投資対象が違えば単純に比較はできないからです。例えば日本株に投資するファンドと中国株に投資するファンドの同じ期間のリターンを比較しても意味がありません。
それどころか、同じ日本株のファンドであっても、単純比較はできません。例えば、大型株のファンドと中小型株のファンドではリスクが異なります。一般には後者の方がリスクを取った運用ですから、高いリターンにならないと割りに合いません。同じリターンならリスクの小さなファンドの方がよい運用成績といえるのです。
<誤解3> 投資信託の基準価額は高い方がよい
基準価額は高い方がよいと思っている人がいますが、誤解です。例えば同じ日本株に投資するファンドが2本あって、それぞれの基準価額が1万円と5,000円だとしたら前者の方がよいと思うかもしれません。
しかし、基準価額の高低は、ファンドの選択には関係ありません。例えば、日経平均が2万円の時に設定されたインデックスファンドは、株式市場が50%下がれば、基準価額は5000円くらいになっているはずです。しかし、日経平均が1万円の時に設定されていれば基準価額は1万円前後のはずです。基準価額が半分だからといって前者が安価な訳でもありませんし、後者の運用がうまかった訳でもありません。
<誤解4> 分配金が多いファンドがよい
分配金が多いファンドがよいというのは誤解です。日本では毎月分配型投信が人気ですが、分配金が多いファンドイコール良い運用成績とは限らないのです。
年金生活者の人であれば毎月の分配金に意味があると思いますから、毎月分配型のファンドを否定するわけではありません。しかし、分配金が多いことと運用成績が良いことには相関はありません。分配金を支払うとファンドの基準価額はその分低下します。つまり、相場が動かなければ、ファンドの価値は分配金支払い分だけ減少します。
よいファンドかどうかは、分配金と基準価額の2つを合わせてリターンを計算してリスクと比較しなければわからないのです。
<誤解5> 信託財産留保金のかからないファンドがよい
信託財産留保金がかからないファンドがよいというのは誤解です。信託財産留保金とは、投資信託を解約するときに徴収される金額ですが、これは信託財産に組み入れられます。解約する人が残っている受益者に対して支払う「迷惑料」のようなものなのです。
これはコストとして取られるのではなく、ファンドの保有者同士でのお金のやり取りと考えることができます。不公平感を無くすための仕組みと考えるることもでき、かかるファンドの方が良心的といえるのです。
<誤解6> 売れている投資信託がよい
当たり前のことかもしれませんが、売れているファンドがよいファンドというのは誤解です。相場が過熱してくると、そのマーケットに注目が集まり、多くの個人投資家が殺到して人気のファンドになるケースがあります。しかし往々にしてそのような過熱した状況というのは相場のピークに近いことが多いのです。
売れ筋ランキングをチェックする前に、ファンドの販売手数料や信託報酬、それに投資対象などをチェックするようにしましょう。
<誤解7> 格付けの高い投資信託がよい
格付けの高いファンドがよいというのは誤解です。投資信託にもファンド評価会社が行う格付けがあります。格付けは過去の実績の評価ですから、それが将来もあてはまるかどうかわかりません。また、インデックスファンドはアクティブファンドのように運用の格差がほとんどないので格付けは必要ありません。
いかがでしょうか?誤解だらけの投資信託選び。投資経験の長いベテランの方でも意外な盲点があったりするものです。
きちんとした勉強が必要!と感じたら書籍や通信講座で基本を学習してみることをおススメします。
マネックス・ユニバーシティのおススメ書籍一覧
http://www.monexuniv.co.jp/service/book_dvd/index.html#book3
マネックス・ユニバーシティが開発した「資産運用講座」
http://www.u-can.co.jp/course/data/in_html/1159/about.html
日経プレミア新書「初心者は株を買うな!」
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4532260442?ie=UTF8&tag=monexuncojp-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4532260442
正しい基準で投信選びができるようになったら、次はそれをどうやって活用していくのかという「仕組みつくり」の話になります。機会があれば、こちらもこのコラムで紹介したいと思います。
今回の話のまとめ---------
■ 投資信託で投資をはじめる人が増えている
■ 投資信託選択法を誤解している人は意外に多い
■ 投資経験の長い人でも書籍などで勉強しておいた方がよい
では、また来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp/
マネックスからのご留意事項
「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。