「60歳までに1億円」を目指す人に贈る7つのアドバイス

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

「60歳までに1億円」を目指す人に贈る7つのアドバイス

本コラムの読者のほとんどは投資経験者だと思いますが、お金との付き合い方には投資以外でも気をつけるべきことがたくさんあります。

収入、支出、投資・・・そんなお金全体のことをひとまとめに考えるきっかけになれば、と新しい書籍を作りました。相変わらずの拙い文章ですが、今週末から店頭に並ぶ予定ですので、お読みいただければ幸いです。
(ご意見・ご感想をいただけると、とてもうれしいです)

60歳までに1億円つくる術―25歳ゼロ、30歳100万、40歳600万から始める
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344981499/monexucojp-22/ref=nosim

ちなみにタイトルには、60歳までに1億円・・・、とありますが、1億円が絶対に必要という訳ではありません。「1億円」というのは人生に必要な金額を象徴的に示したものです。リタイア後の生活に入る前に、自分に必要なお金をどうやって手に入れるか、をまとめたものです。

今回は、その中から一部抜粋し、お金と上手に付き合うためのヒントを7つにまとめてみました。


■ヒント1.お金はフローとストックに分けて考える

お金はフローとストックに分けて考えるとスッキリ理解できます。フローとは毎月のお金の流れ。一方、ストックとは、資産として金融機関にあるお金です。投資はストックを使って行うわけですが、実はストックだけではなくフローの管理もしっかりすることが重要なのです。

なぜなら毎月のフロー(収入と支出の差)がきちんとプラスになっていれば、投資がうまくいかない時であっても家計が破綻することは無いからです。投資をしているとストックの増減にばかり目がいきますが、まず押さえるべきはフローです。


■ヒント2.家計簿はつけなくていい

そのフローの管理というと家計簿を思い浮かべる人がいるかもしれませんが、家計簿はつけなくても大丈夫です。普段使う銀行口座を1つにまとめれば良いのです。

給与振込み口座も、カード決済口座も、公共料金の引き落としも、現金を引き出すのもすべて1つの口座に集中させる。それによって毎月の収入と支出のすべてがその口座で管理できるようになります。

つまり銀行口座で自動的に家計簿が作成されるようにしてしまえば良いのです。

■ヒント3.10年後、あなたの今の仕事はまだあるか考えておく

フローを増やすには収入を増やすか、支出を減らすしかありません。収入に関して言えば、今自分がやっている仕事が10年後にも存在しているかどうかを考えてみてはどうでしょうか。

今後、国内の環境変化とグローバル化、さらに技術進歩によって雇用環境が大きく変化する可能性があります。今の仕事を定年まで続けられることを前提にするのではなく、将来無くなる、あるいは他の国に取って替わられるリスクが無いかを、考えておくことです。

自分のキャリア戦略の見直しです。

参考【日経ビジネスオンライン】ビジネスパーソンのキャリア戦略は変わったhttp://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20091112/209613/


■ヒント4.支出は節約ではなく、3大支出の見直しから始める

フローを増やすもう1つの方法支出を減らす、ですが、過剰な節約はやめましょう。無理は続きませんし、何より、毎日の生活が辛い寂しいものになってしまうからです。

節約は大きな支出から見直すのが先決です。人生の3大支出とされる、住宅、保険、教育のコストをまずチェックしましょう。

例えば保険に関しては、先週のコラムで取り上げたライフネット生命のような、低コストの保険会社を活用し、必要の無い過剰な保険は解約することです。ネット上で見積もりをしてみると見えてくるものがあると思います。

投資と保険をまとめて考えたら頭がスッキリした(バックナンバー)
http://lounge.monex.co.jp/column/shisan/2009/11/20.html


■ヒント5.持家か賃貸かで悩んでも意味がない

住宅も人生の3大支出の1つですが、家の話になると必ず出てくるのが「持家と借家とどっちがおトク?」という永遠のテーマです。結論から言えば、どちらがトクかは、将来の住宅価格次第。上がれば持家、下がれば借家がトクということです。どちらかが割安になれば、そちらにする人が増えるはずですから、持家と借家の間には裁定が働いているからです。

つまりどちらにするかは損得の経済合理性で考えるのではなく、人生観を基準にして考えた方が良いのです。


■ヒント6.資産づくりは大学受験と同じ

資産を殖やしていくためには、ストックを活用する投資だけではなく、収入や支出から生まれるフローも含めて管理する必要がありますが、その第一歩は計画を立てることです。ガムシャラに仕事や節約そして投資をやるのではなく、計画を立ててから始める方が合理的だからです。

計画を立てることによって、心に余裕が生まれます。やるべきことさえやって後は、自由にして良いと考えることができるからです。例えば毎月3万円積み立てで計画が立てられれば、3万円だけを投資に回して後は使ってしまっても良い、と割り切ることもできます。1円でも多く節約する、といった精神的にストレスのかかる方法にしなくても良いのです。


■ヒント7.お金の悩みは自分の努力で解決できる問題

投資以外のお金の問題を含め、将来に対する漠然とした不安は、どうなれば解決できるかを具体化していくことが、大切です。そして具体化できた不安は、今度は細分化して1つずつ潰していけば良いのです。

時間はかかるかもしれませんが、不安を具体化・細分化することで解決策を考えやすくなりますし、どこまでやれば悩みが解決されるのかが見えてきます。
お金の問題は、正面から向き合い、アプローチを工夫すれば自分で解決することができるのです。


■ 過剰からバランスへ

過剰な節約で支出を減らそうとしたり、過剰なリスクによって投資のリターンをあげようとしても、豊かな人生は手に入れられません。お金に関して大切なのは、
極端なことをするのではなくバランスを考えることです。

個別銘柄や資産の一部にだけ注目するのではなく、自分とお金の付き合い方を生活全体でトータルに見直すことでバランスの取れた状態を実現することができます。

お金の付き合い方を見直していくことによって、将来の漠然とした不安を減らすことができます。そして、それは今の自由をもたらすことにもなるのです。
年末年始にこれからのお金との付き合い方を考えてみるきっかけにしていただければ幸いです。

今回の話のまとめ---------

■ お金との付き合いは投資だけではない

■ 漠然とした不安は具体化、細分化して1つずつ潰していく

■ 将来の不安が解決すれば、今の自由も手に入れられる

では、また来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍

株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長

http://www.monexuniv.co.jp/

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