その406 【提案】1年経ったら、「お任せファンド」から卒業しよう

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

その406 【提案】1年経ったら、「お任せファンド」から卒業しよう

投資信託を使って資産運用をしている個人投資家にとって、昨年は投資環境が大きく改善された1年でした。低コストインデックスファンドが、複数の運用会社より提供されるようになり、さらに1000円積立の登場によって、少額での分散投資がやりやすくなったからです。

特に1000円からの投資は、投資未経験者のエントリーのハードルを下げることになりました。最近、早朝の勉強会やビジネス書作家の方とのコラボレーションのセミナーなどに参加させて頂く機会が多いのですが、投資にまったく縁の無い方でも「1000円なら投資をやってみたい」という意見が多かったです。

実際には1000円だけしか投資をしないということは無いでしょうが、始めるきっかけとしてアナウンスメント効果は大きいようです。

マネックス「1000円投信」4つの特長
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G606/tsumitate/1000yen_point.htm

■お任せファンドとDIYファンド
インデックス投資というと、日本株、外国債券といった個別の投資対象にいくつかのファンドを組み合わせて投資する方法だけでなく、バランス型ファンドを使う方法もあります。バランス型ファンドとは1つのファンドに複数の投資対象が組み入れられている便利な商品です。

マネックス資産設計ファンドをきっかけにネット証券各社も専用ファンドを販売するようになりました。さらにセゾン投信のような直販投信会社も追従しています。

バランス型ファンドが「お任せファンド」だとすれば、インデックスファンドを組み合わせる方法は「DIYファンド」と考えることができます。

「元祖!お任せファンド」マネックス資産設計ファンド
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0035020000

■お任せのメリットと限界
バランス型ファンドは確かに便利です。資産配分を自分で考える必要がありませんし、積立を使えば自動的に長期分散投資が進められます。さらに資産配分の歪みを調整するリバランスも、ファンドの中で行うようになっているので、まったく手のかからない投資ができます。

一方のインデックスファンドを組み合わせる方法の場合、組み合わせの比率は自分で考えなければいけません。またリバランスも自分で管理する必要があります。

しかし、もしこれから10年も20年も投資を続けるのであれば、インデックスファンドを組み合わせる方法にすべきだと思います。それには2つの理由があります。

1つは、理想の資産配分が実現できるということです。

どの資産にいくら投資をするか、という資産配分比率は、正解があるものではなく、適正な比率もリスクに対するスタンスによって個人差が大きなものです。自分に最適な資産配分を見つけることは簡単ではありませんが、試行錯誤の中で理想に近づいていくことは可能です。そのためには自分で配分比率を決めることが必要です。バランス型ファンドを使って運用していてはいつまで経っても実現できません。

■投資で自己成長する
もう1つの理由は、自分で組み合わせを考えることで、投資を通じて自己成長できることです。

投資には資産が殖える、自己成長できる、そして社会貢献できる、という3つの効用があります。

自分で資産配分をどうするかを考える「DIY」をしているうちに、為替・金利・株価といったマーケットの動きやマクロ経済の状況を自然に学ぶようになります。理想の資産配分に向けて試行錯誤していく中で、必要な知識を習得し、自己成長できるのです。

自分で意思決定できる「自立した投資家」になる。これはお任せファンドでは到達できない境地です。

■1年経ったらバランス型ファンドは卒業しよう
自分でファンドを組み合わせるといっても、大して難しいことではありません。最初は、資産配分例などを参考にしながら投資金額を増やしていき、時間をかけて自分のやり方にしていけば良いのです。

そこでバランス型ファンドでお任せ運用している人に提案です。

【提案】1年経ったら、「お任せファンド」から卒業しよう

バランス型ファンドは導入商品として存在価値がある商品ですが、一方で限界もあります。ビジネスパーソンが既製品のスーツからオーダーのスーツに着こなしを進化させるように、食通がコース料理からアラカルト注文にレベルアップするように、投資手法も進化させましょう。

自分に合った投資ができるだけではなく、投資を通じて世の中の動きに敏感になることが、きっとできるようになります。

「お任せファンド」と「DIYファンド」。どちらの方法を選択するかによって自分自身の10年後にどんな違いが出るか?考えてみてください。

今回の話のまとめ---------

■投資信託を使った投資の方法は劇的に変化した

■バランス型ファンドは自己成長の実現にはあまり向かない

■1年経ったらバランス型ファンドは卒業しよう


では、また来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp/

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