その408 大前研一さんにPIIGSとBRIICsから世界を見る方法を教えてもらった

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

その408 大前研一さんにPIIGSとBRIICsから世界を見る方法を教えてもらった

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先週の日曜日はマネックス証券とオリックス証券の共催「お客様感謝DAY」でした。あいにくの天気でしたが、第一部の大前研一さんの講演が最高でした(控え室で聞かせていただきました)。

1時間の講演に笑いあり、皮肉あり、そして情報あり・・・あれだけ楽しませながら、学ばせることができる。極上の教養エンターテインメントでした。(当日参加されなかった方のために、収録動画が公開される予定です)
ところで、大前さんと言えば、とてもコワい人、というイメージがあったのですが、講演前に控え室でお話させて頂いたら、とても気さくで楽しい方でした。ネットや原稿のイメージと実際にお会いした時にギャップがある、というのは意外に多いケースです。

それはともかく、講演内容は多岐に渡っていたのですが、私には以下の2点が強烈なメッセージとして残りました。

■お金の流れが、5年前から変わった

1つは世界のお金の流れです。昨年後半からギリシャの財政問題を契機にユーロ安が進みましたが、大前さんはEUに対して一般の見方に比べ、強気であるように見えました。

PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)と呼ばれるEUの周辺国の財政問題よりも、EUが経済規模では米国を抜いて世界最大の「国家」となった、ということを重視しているようです。

一方、新興国の成長も続きます。大前さんはBRICs以外の新興国も含め、新しい成長国へ今後もお金が流れることを力説していました。象徴的に
BRICsはもう古い。これからはインドネシアも加えたBRIICs(ブリークス)の時代だ、と言うことです。

その中での日本ですが、15年で300兆円もの公共投資をしたのに経済成長は止まっています。ユーロ、米国、中国が世界のトップ3となり、日本経済は世界第2位から4位に転落してしまったのです。

■日本人よ!これで良いのか?

さらに、日本の財政問題は深刻です。政府債務残高の対GDP比は200%に達するレベルで世界に誇る断トツの1位。しかも、当面増税はしないで子供手当をはじめとする財政支出を行う。PIIGSの危機を対岸の火事を考えている場合ではないのです。

大前さんは道州制などの具体的提案を持っているようですが、私は個人が自分の資産と生活をどう守っていくかは、「あるべき論」を語る前に自分自身で考えなければ大変なことになる、と思いました。

しかし現実を見ると、日本の個人金融資産は半分以上が預金。しかも、預金、年金、生命保険と資産が分散されていても、結局そのお金を運用しているのは国債。つまり別々の商品に投資しているように見えても、結局、日本人のお金は同じところに流れている。

つまりこうなっているのです

・日本の経済成長率は低く、GDPはEUを加えれば世界第4位

・政府債務残高対GDP比は200%を超え、PIIGS以下の状態

・日本人の金融資産の多くが、最終的に日本国債に投資されている


世界には成長している地域や国家や企業があるのに、ナゼこのようないびつな形になっているのでしょうか?大前さんは文部科学省の貢献、とおっしゃっていましたが・・・。

PIIGSを他人事で済ませられない日本、BRIICsに投資のチャンスが広がる世界経済。ざっくりと世界を見渡すと、そんな世界が見えてきます。

金融は地震と似ています。危機を察知することができても、それがいつ顕在化するか予測がつかないのです。いたずらに危機感を煽る、狼少年になってはいけませんが、地震と同じように「防災の準備」はしっかりやっておきましょう。マネックスがお手伝いします。

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今回の話のまとめ---------

■ 世界のお金はBRIICsをはじめとする成長する場所へ集まっていく

■ 日本の国家財政状態はPIIGSを傍観できる状態ではない

■ 円預金だけに資産が集中しているのは安全なのかリスクなのか?


では、また来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長

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