2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
バンガード・インベストメンツ・ジャパンの加藤隆社長とお会いする機会がありました。マネックス・ユニバーシティで制作しているインデックス運用会社の方へのインタビューの録画のためです。
加藤さんとは以前、シュローダーという英系の運用会社で一緒に仕事をしていたことがあります。アクティブ運用の会社で仕事をしてから10年。2人でインデックス運用についてお話することになろうとは、何とも皮肉なものです。
バンガードと言えば、米国ではフィデリティと並ぶ大手ファンド会社ですが、日本では一般的にはまだあまり知られていません。しかし一部の個人投資家の熱狂的な支持を受けています。例えば、昨年末に個人投資家の投票でバンガードのファンドは第1位に選ばれました。
「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2009」ベスト10はこちら
http://www.fundoftheyear.jp/
このVT(トータル・ワールド・ストックETF)という商品ですが、要するに1本で日本を含む世界中の株式に投資ができる商品です。
世界47ヵ国の2,731銘柄が投資対象となっており、FTSEオール・ワールド・インデックスに連動した運用成果を目指しています。
昨年末の時価ベースで見ると、地域別の配分は次のようになっています。
北米 45%
欧州 28%
太平洋諸国 13%
新興国 14%
この中には日本株も約9%含まれています。
■海外ETFの魅力は保有期間中のコストが低いこと
それにしてもこのVTの保有コストは低水準です。ファクトシートによれば、年間のエクスペンスレシオ(コスト)は0.30%。インデックスファンドに比べ、競争力のあるレベルだと思います。
このエクスペンスレシオは見直しされ変動する数値ですが、残高が大きくなってコストが下がれば、今後さらに下がる可能性もあります。ファンドについてさらに
詳しく知りたい方は、ファクトシートをご覧ください
VTのファクトシート(PDF形式)
https://www2.monex.co.jp/pdf/gaikstk/fact_vt.pdf
■トッピングでカスタマイズできるのはピザと同じ感覚
さらに、心憎いのはバンガードの他のファンドのラインアップです。例えば、バンガードでは地域別に次のようなファンドシリーズも出しています。
米国 VTI(トータル・ストック・マーケットETF)
欧州 VGK(ヨーロピアンETF)
太平洋諸国 VPL(パシフィックETF)
新興諸国 VWO(エマージングマーケットETF)
例えば、新興国の比率をVTの構成比率である14%より増やしたければ、VWOを追加することで配分比率を自分の望みとおりに変更することができます。
また、小型株に関しても2本のファンドがあります。
米国小型株 VB(スモールキャップETF)
世界小型株 VSS(FTSE・オールワールド(除く米国)スモールキャップETF)
VBは米国の小型株のインデックス、VSSはアメリカ以外の世界47ヶ国の小型株のインデックスです。これらの2つを合わせれば、世界をカバーする小型株インデックスになります。VTにトッピングすれば、小型株にウエイトを置いた運用をインデックスですることも可能になります。
このようにVTというコアな商品に、地域別の海外株式ETFや小型株の海外ETFをトッピングすることによって、自在にポートフォリオをカスタマイズすることができます。
何だか宅配ピザやアイスクリームの注文をするのと同じような感覚で、組み合わせて自分好みの比率に仕上げることができる。このフレキシビリティは自分で資産配分を考えたいという人には魅力的です。
■メリット・デメリットを知った上で使い分ける
海外ETFには、売買時のコストがかかる、積立ができないといった欠点はありますが、保有期間コストの競争力は圧倒的です。またバンガードの商品構成は合理的かつ戦略的で、インデックスファンドでは現状できないカスタマイズができるのも強みです。
数百万円以上のまとまった資金を長期で運用したいという個人投資家には検討に値する商品ラインアップだと思います。
加藤さんへのインタビューは、間もなくマネックス キャンプで公開予定ですが、こちらも商品同様、わかりやすく歯切れの良い内容です。公開までもうしばらくお待ちください。
来月からは、毎週新作動画が続々更新「マネックス キャンプ」
http://camp.monex.co.jp/#/school
今回の話のまとめ---------
■ 海外ETFは積立ができないが、保有コストと品揃えが魅力
■ 地域配分、小型株ウエイトなどカスタマイズが可能
■ 大きな金額で長期運用なら、インデックスファンドと使い分けできる
では、また来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
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