2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
投資の勉強というと、商品選択や売買のタイミングといった投資のテクニックを身につけることが重要だと言われます。確かに、それも大切ですが、そのよりももう少し大きな視点でお金との付き合い方を考えておくことも大切ではないか。そう思い、「5つのステップ」に分解して整理してみました。
■「5つのステップ」とは?
お金との付き合い方が感情的にならず、続けられるようにするために、投資をはじめる前に5つのステップを順番に考えてみてください。
<ステップ1> 今、自分はどこにいるかを知る
投資の成功へのスタートラインは、現状把握です。なぜなら、自分がどこにいるかがわからなければ、どこに向かっていけば良いかわからないからです。
投資で言えば、自分の資産が今どこにいくらあるかを把握すること。株式や投資信託で損が出ている人は現実から目をそらしがちですが、現状を知らなければ対策の立てようがありません。
<ステップ2> ゴールはどこかを決める
旅行に行く時には目的地を決めます。それが無いと、どちらに向かって行けば良いかわかりません。目的地がわかれば、それに向けて最短距離を考えることができるのです。
目的地に行くのには、理由があります。それが目標です。投資で言えば、例えば、老後安心したい、というのが目標で、目的地は60歳までに1億円といった具体的な数字になります。
目的地とそこに行く理由を考えておけば、高いモチベーションを維持することができるのです。
<ステップ3> ゴールに向かってやるべき方法を決める
現状把握と目的地が決まれば、どうやってそこに到達するのか、その方法を考えます。投資の場合、ここで初めて投資の手法を考えることになります。私は、長期で資産をじっくり殖やしていこうと思うなら、まずは資産を分散させて積立を使う堅実な方法が基本だと思っています。
<ステップ4> 続けるための「仕組み」を作る
せっかく方法を決めてはじめても、続けられなければ意味がありません。ステップ3で決めたことを、続けるためには、続けられる仕組みを作ることです。
投資で言えば、なるべく負荷をかけないように積立を使ったり、証券口座の数を減らし、3か月に1回のモニタリングの習慣をつけることです。これが「仕組み化」できれば、続けやすくなります。
また、ナゼ投資をしているのか?という目的や目標が意識できれば、それが続けるためのモチベーションになります。さらに、大損して途中でやめてしまわないようにリスクの取りすぎに注意することも重要です。
<ステップ5> 困った時の突破力を持つ
やり方を工夫して投資をしていても思い通りにならないことがあります。そこで考えておくべきなのは、想定外の事態が起こった時にどうすればいいのか、ということです。例えば、金融危機のような市場の暴落が発生して、資産が予想以上に減ってしまった、といった状態です。
思い通りにならない時に、あきらめてしまうのではなく、そこからどうやって事態を好転させることができるか粘り強く考え、実行する。メンタルな話になりますが、そんな「突破力」があれば、途中でやめにくくなります。
投資で思うような成果がなかなか上げられないという人は、このような「5つのステップ」で考えてみると解決策が見えてくるかもしれません。分解することで、どこに問題があるかが見えてくるからです。
■ 5ステップ・アプローチで人生の問題解決に応用できる
この5ステップ・アプローチは投資の問題解決に考えてみたものですが、実は、他のことにも応用できるのではないか、と思います。
例えば、
自分の仕事が思うようにうまくいかない
人間関係に悩んでいる
勉強しているのに成果が上がらない
どれも同じように5つのステップを導入することで、解決の道筋が見えてきます。
投資とはギャンブルの才能や運が良い人だけが成功するような特別なものではなく、仕事や勉強、人間関係など人生すべてのことに共通するポイントがあります。
5ステップ・アプローチは、投資に限らず問題解決のために、まず問題の所在がどこにあるかを考えることからはじめる。そのために役に立つ方法ではないかと思っています。
今回の話のまとめ---------
■ 投資で重要なのはテクニックよりアプローチ方法
■ 5つのアプローチを考えることで問題解決が見えてくる
■ 投資の問題解決手法は、人生の問題解決に応用できる
では、また来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
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