2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
<お知らせ>
5月23日の福岡セミナー。3人でこれからの投資戦略のヒントをお届けしますhttps://seminar.monex.co.jp/public/seminar/view/1434
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ギリシャの財政危機問題をきっかけにマーケットが混乱しています。株安・円高によって投資家のリスク回避の動きが急速に強まっています。
このようなマーケットの急変は珍しいことではありません。長期投資を続けていれば、今回に限らず今後も何回か経験するはずです。とすれば、このような事態に対する自分の対処法をきちんと確立しておく必要があります。
対処法と言っても魔法の方法はありません。極めてオーソドックスなことを淡々とやっていくだけです。自分の現状を知ること、マーケットの現状を知ること、そして次にどうするのかを判断すること、が基本になると思います。
<ステップ1> まず自分を知る
株価が急落すると、自分の資産がどうなっているか、まったくチェックしなくなる人がいます。見るのが怖くて、現実から目を背けている状態です。
このようにマーケットの変動によって身動きが取れなくなるということは、そもそもリスクを取りすぎていたということです。だとすれば、まずは自分の取るべきリスクの範囲に自分の資産を動かす必要があります。間違っている状態を放置するのは、正しい投資スタンスとは言えません。
自分の資産が今どうなっているかわからない、という方には、週末に自分の資産を計算して、配分比率をチェックすることを強くおススメします。
<ステップ2> 次にマーケットの現状を知る
次にやるべきことは、マーケットの現状を知ることです。マーケットの現状を知るためには、事実関係を把握すること、複数の専門家の意見を知ること、の2つを合わせるのが良いと思います。重要なのは事実と意見を分けて情報収集することです。
今回の混乱の原因になっている欧州の債務問題ですが、例えば、ニューヨークタイムズに掲載されている図を見ると、事実関係をビジュアルに把握できます。
必見!ニューヨークタイムズ作成「欧州の債務のクモの巣」
http://www.nytimes.com/interactive/2010/05/02/weekinreview/02marsh.html?ref=weekinreview
また、専門家が現状をどのように見ているか、ですが、例えばマネックス証券の村上の最新レポートでは、「世界同時株安にどう対処するか」というテーマでオピニオンを掲載しています。
村上レポート「世界同時株安にどう対処するか」
http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G903/er/global.htm
<ステップ3> その上でどうするのか決める
このように、自分を知り、マーケットの事実と意見を知った上で、どうするのかを考えていくのが良いでしょう。ただし、短期的なマーケットの動きは、小さな情報で大きく一方向に振れやすく、予測することは非常に困難です。
具体的な対応としては、もし、ユーロ圏の混乱がさらに拡大すると考えるなら、リスク量を落とす。逆に混乱はこれ以上大きく広がらないと考えるなら、自分にとって適正はリスク量を維持するという投資行動が考えられます。
■ 円高・株安のピンチは投資のチャンス
対処法としてご紹介した3つのステップは、言われてみれば当たり前のことに思えますが、その当たり前のことが出来ていない人が多いのです。問題が現実化するまで、人はなかなかやるべきことをやろうとしないものです。
なかなかやるべきことをやろうとしない、と言えば、外貨投資にもそれが当てはまります。外貨投資に関しては、3年前に出版した書籍でその必要性を、3つにまとめました。
1.投資のフロンティアを広げることができる
2.日本より高成長を続ける新しい市場へ投資できる
3.円安リスクを回避できる
当時からマーケット環境は大きく変わりましたが、この3つの重要性は変わっていないと思います。むしろ、今後個人投資家にとっての外貨投資の重要性はさらに高まっているとさえ思えます。日本国内に資産を集中させるリスクは以前より高まっているように見えるからです。しかし、外貨への資産の分散の重要性がわかっていても実行できている人は少ないのです。
投資でリターンをあげるためには、安い時に買って高い時に売ること。今回のマーケットの混乱が、時間はかかるものの、いずれまた終息すると判断するのであれば、マーケットの混乱というピンチは投資のチャンスと見ることができるのです。
今回の話のまとめ---------
■ 繰り返されるマーケットの変動には3つのステップで対応する
■ 相場環境が変わっても外貨投資の重要性は変わらない
■ マーケットの混乱はピンチであるが、投資のチャンスでもある
では、また来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
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