2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
マネックスメールの読者は低コストインデックス運用を実践している「スマートインベスター」が多いと思います。
確かに、投資においてコストを引き下げることは重要ですが、実際にどんなコストがかかるかについて、正しく理解できてないケースが多いのです。
例えば、投資信託のコストと言うと販売手数料と信託報酬の2つは知っていると思いますが、それ以外のコストに関しては意外に無頓着だったり誤解していたりします。
以前このコラムでご案内しましたが、投資信託の購入解約時にかかる信託財産留保金についても誤解している方がほとんどです。
信託財産留保金が高いファンドは、実は良心的なファンド
http://lounge.monex.co.jp/column/shisan/2010/05/14.html
動画を使った具体的な商品での説明もございます(5月14日収録)
http://ondemand.monex.co.jp/?action=lounge_detail&id=292
■信託報酬以外にかかるコストがある
投資信託の場合、運用報告書を見ると販売手数料、信託報酬以外にも、コストがかかっています。
例えば、株式などの資産の売買をする時にかかる委託手数料や、取引にかかる税金、さらにファンドが保有している有価証券の保管管理のために支払うコストなどがかかります。これらのコストは、ファンドの取引頻度や残高によって変わってくるため、信託報酬のように事前にいくらかかるかを明記できないのです。
またコストとしては表れず、パフォーマンスの低下要因となるものもあります。為替の取引にかかる手数料は為替レートの中に織り込まれているのでコストとしては認識されませんが、実際にはこれもコストです。
このような事後的にしかわからないコストも含めて比較してみないと、本当にどのファンドが低コストなのかはわかりません。単純に信託報酬だけを比較するのでは、不十分なのです。
■ETFとインデックスファンドの単純比較も危険
投資信託のコスト比較が単純なものではないことが、おわかりいただけたと思いますが、ETFと投資信託のコスト比較になると、さらにややこしくなります。
ETFの場合、国内ETFなら株式と同じように売買手数料が買付、売却どちらにもかかります。海外ETFになると売買手数料に加えて、さらに為替の手数料がかかってきます。米国ドル建ての海外ETFの場合、まず円を米ドルに交換し、さらにそこから株式の売買をするという手順になるからです。
信託報酬に関してはETFの方が低いケースが多いのですが、全体のコストで比較すると、投資金額や保有期間によって変わってしまいます。
また、ETFは株式と同じように、市場で売買されますので、あまり出来高の多く無い銘柄の場合、インデックスと取引価格が乖離することがあります。割安になったり割高になったりすることがあるのです。
■投資目的に合わせて商品選択を
このように調べていくと、大きくコストに差がある場合は問題視すべきですが、信託報酬の小さな差にあまり神経質になりすぎても、本当に低コストの商品が選択できなくなってしまいます。
そこでマネックス キャンプでは、インデックスファンドとETFを徹底比較してもらうために、運用会社5社のプロフェッショナルとの対談動画を制作しました。ご出演頂いたのは下記の5名の皆さまです。
住信アセットマネジメント株式会社 橋本隆吾氏
三菱UFJ投信株式会社 大平恒敏氏
日興アセットマネジメント株式会社 今井幸英氏
バンガード・ インベストメンツ・ジャパン株式会社 加藤隆氏
ブラックロック証券株式会社 藤川克己氏
【動画】徹底比較 スペシャル対談に5人のプロが登場!
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2010/news1005p.htm
コストだけではなく、トータルで見た商品選択、商品の組み合わせ方法についても参考になる情報が満載です。是非ご覧ください。
今回の話のまとめ---------
■ ファンドにかかるコストは販売手数料と信託報酬だけではない
■ 見えないコスト、見えにくいコストにも目を光らせよう
■ ETFとインデックスファンドはコストだけで比較してはいけない
では、また来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
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