その421 ピクト図解を使って投資先のビジネスモデルを分析する

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

その421 ピクト図解を使って投資先のビジネスモデルを分析する

ピクトグラムをご存知ですか?例えば、トイレやエレベーター、非常口といった場所を示す記号のようなものです。言葉がわからなくても絵を見ただけで外国人でも直感的に理解できます。あれがピクトグラムです。

そのピクトグラムを使って企業のビジネスモデルを図解する方法を解説した「ピクト図解」という本を読み、これが投資に活用できないかと考えました。
ピクト図解とは何か?
http://diamond.jp/articles/-/8235

ピクト図解は、「ビジネスとは交換である」という考え方をベースに、3W1H、つまり「誰が」「誰に」「何を」「いくらで」の4つに注目してピクトグラムで図解します。これによって、その会社のビジネスモデルが見える化できるのです。

ピクト図解の中のお金の流れ(インカムライン)に注目すれば、企業の収益の源泉がどこにあるのかをビジュアル化できます。インカムラインが分散され、将来的に太くなっていくとすれば、有望な投資先と判断することができるのです。

■ファンダメンタルズ分析にピクト図解を使ってみる
株式の銘柄選択の手法には大きく分けてファンダメンタルズ分析とテクニカル分析があります。

ファンダメンタルズ分析とは企業の財務や収益性などの経営状態から投資判断を行う手法です。PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)のような数値化されたデータを使う定量的な分析もありますが、企業の経営者の資質やビジネスモデルといった数値化しにくい評価はどうしても主観的なものになりがちです。

ピクト図解によってビジネスの全体像が一覧できるようになれば、バランスの取れた企業分析に役立てられる可能性があるのです。

■クックパッドでケーススタディしてみると・・・
具体的な活用方法として、企業のIR資料を使って、ビジネスをピクト図解してみるとどうなるか?ダイヤモンド社のビジネス情報サイト、ダイヤモンドオンラインで個別企業のケーススタディが始まりました。

「ピクト図解」著者の板橋悟さんの解説でマネックス・ユニバーシティも全面協力しています。

第1回で取り上げたのはクックパッド。ネット上で料理レシピ情報を提供する会社です。主婦に圧倒的な支持を得ている企業ですが、どのようにしてレシピ情報から収益を上げているのでしょうか?

ピクト図解してみると、この企業の将来性を見るためのいくつかのポイントが見えてきました。

クックパッドの"儲ける仕組み"をピクト図解してみると...
http://diamond.jp/articles/-/8309

こちらのダイヤモンドオンラインでの連載は5回の予定。クックパッド以外にもユニークなビジネスモデルを持っている会社が続々登場予定です。

■ピクト図解を企業分析の1ツールとして活用しよう
ピクト図解は企業分析に関して万能なツールではありません。見える化できたとしてもそれが将来どのように企業収益に影響していくかは、ピクト図解からはわからないからです。

ピクト図解のメリットは全体を一覧して直感的に理解できるようになることです。投資先の細かいデータではなく、全体をまとめて見ることで、大きな会社の将来性を考えるヒントになる手法なのです。

自分が投資している企業を自分でピクト図解することができるようになれば、投資の新たな注目視点が見えてくるかもしれません。この手法は基本をマスターすれば誰でも自分で手書きできます。頭の整理をするための手法なのです。
今回の話のまとめ---------

■ ピクト図解はビジネスを見える化する

■ ピクト図解を企業分析の1ツールとして活用することができる

■ 図解の方法をマスターすれば自分でピクト図解する習慣が身につく

では、また来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長

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