その430 外貨の金利型商品のおススメは債券、投信、それとも外貨MMF?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

その430 外貨の金利型商品のおススメは債券、投信、それとも外貨MMF?

円高が進む中、逆バリ投資を考えている個人投資家が増えています。

前回も書いたように、私は外貨投資はやるのがリスクではなく、やらないのがリスクだと考えています。将来受け取る年金の運用も実は半分以上は円資産になっています。自分が持っている金融資産まで円の預金に集中させることは、将来のインフレや円安といったリスクをさらに高めることになってしまうからです。

為替レートの予測はできない、だから外貨投資をするべき(前回コラム)
http://lounge.monex.co.jp/column/shisan/

外貨投資をする際の投資対象は、株式と債券が中心になります。株式の場合、先進国と新興国の配分が問題になります。具体的な投資商品としては投資信託や海外ETFを使って運用することになります。

一方の債券(金利型商品)では、ツイッターやブログでも議論になっているように、商品選択で悩んでいる人が多いようです。具体的には、金利型の外貨投資商品として、外債、外貨MMF、そして外債ファンドをどう使い分けたら良いかという問題です。

外債なら外国債券を直接購入することになります。外貨MMFとは外国籍の投資信託、そして外債ファンドとは、外債が組み入れられた国内投資信託を指します。

これらの金利型外貨商品のどれを選択するか考える際のポイントは、分散、積立、コストという視点です。

■ 分散の視点 - 外債と外貨MMFは通貨分散できない

まず分散という観点から見ると、外債ファンドが優れています。

外債や外貨MMFの場合、投資する通貨は1つに決まってしまいます。米ドルMMFなら米ドル100%、南アフリカランド債であれば、ランド100%です。1商品で1通貨になりますから、通貨分散できません。

一方、外債ファンドであれば、通貨分散が可能です。例えば、eMAXIS 先進国債券インデックスのようなインデックス型の外債ファンドの運用状況を見ると、米ドル、ユーロ、英ポンド、カナダドル、オーストラリアドルなどに分散されていることがわかります。

eMAXIS 先進国債券インデックス マンスリーレポート

http://www.monex.co.jp/pdf/fund2/M768.pdf

ちなみに、外債と外債ファンドには金利上昇リスクがあります。期間の長い債券に投資をしていると金利変動リスクが発生するからです。一方の外貨MMFは組み入れられているのが短期のものなので、金利リスクはほとんどありません。
投資初心者には外貨MMFが最も人気がありますが、その理由は値動きのわかりやすさです。投資する通貨が1つで、金利リスクがほとんどありません。つまり、投資のリターンは為替の動きでほぼ把握できるのです。

■ 積立の視点 - 外債は積立できない

外貨投資にもドルコスト平均法の考え方が使えます。円高の時にタイミング良く一気に投資できれば最高ですが、それができないとすれば時間を分散する積立が有効です。

外貨MMFや外債ファンドは、投資信託ですから積立ができます。ところが、外債は積立ができません。いつ発行されるかわかりませんし、購入も外貨ベースでの単位になりますから、例えば1万円といった日本円で金額固定することもできないのです。

外債を購入する場合は、新発債の場合、募集の都度申し込んで購入することになります。

■ コストの視点 - コストの比較は複雑で難しい

比較が難しいのがコストです。コスト比較に際して考えなければいけないのは、為替手数料、保有期間中のコスト、そして税金の取扱いになります。
為替手数料に関しては、外債や外貨MMFの場合、買付時と解約時に為替手数料がかかります。外債ファンドの場合は、為替取引をファンドの中で行ないますので直接目に見えるコストはありません。

保有期間中には外貨MMFと外債ファンドにはコストがかかりますが、外債はマネックス証券ではかかりません。

税金に関しては、外債の場合、利付債では利息に対して20%源泉分離課税、償還益は雑所得として総合課税です。

債券の税金

http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G3220/saiken/notes_tax.htm
外貨MMFも分配金に20%の源泉課税になりますが、課税後月末にまとめて再投資されます。また為替差益は非課税になります。

外債ファンドは、分配金と解約時や償還時の差益に課税されますが、現状は軽減税率の特例措置があります。

投資信託の税金

https://faq.monex.co.jp/EokpControl?&tid=12118&event=FE0006

このように、それぞれの商品毎に課税方法が異なり、手数料も含めて実際に計算してみないと正確な比較は困難です。

3つの視点をご紹介しましたが、私が外貨の金利型商品のメインに活用しているのは、外債ファンドです。と言っても人気ランキング上位に入っている毎月分配型のファンドではなく、インデックス型のもの。分散、積立(1000円からできるものがあります)、コストという観点から最も使いやすいからです。
外貨の金利型商品は、国内との金利差が為替で調整されるから投資対象にしないという方も最近増えているようですが、私は運用資産の10%程度は組み入れるようにしています。他の資産との相関を考えれば、組み入れた方が資産全体では良い結果になるのではないかと思っているからです。

※かんたんマネー講座 5分でわかる投資の基本

http://www.monexuniv.co.jp/course/index.html

今回の話のまとめ---------

■ 外貨投資はやるのがリスクではなく、やらないのがリスク

■ 外貨の金利型商品は分散、積立、低コストで選ぶ

■ 外貨MMFが人気だが、インデックス外債ファンドの活用も考えてみよう
では、また来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
ツイッター:http://twitter.com/Shinoby7110

マネックスからのご留意事項

「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧