その432 投信を愛用する一個人投資家として、こんなファンドが欲しい!

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

その432 投信を愛用する一個人投資家として、こんなファンドが欲しい!

投資信託は今やネット証券の主力商品の1つに成長しています。ネット証券各社とも品揃えに注力しており、商品ラインアップはかなり充実しています。しかし、個人的には単純な本数競争には意味が無いと思っています。

例えば、インデックスファンドは同じ指標に連動するものは1本あれば充分だと考えます。日経平均に連動するファンドを10本品揃えしても、逆に個人投資家にとっては混乱するだけで、「品揃え=満足度」につながらないからです。
むしろ本数を絞って、ファンドを厳選した方が、選びやすくなって、販売にもプラスの影響があるのではないかとさえ思っています。

ファンドの絞り込みの一方で、まだ売っていないけどあったら良いな!と思う投資信託もあります。今回は、一個人投資家の立場で「こんなファンドが欲しい!」というリクエストを書いてみようと思います。

■これが欲しい(1)新興国株式も組み入れられた「資産設計ファンド」

マネックス資産設計ファンドは、インデックス運用で世界の株・債券・不動産に分散投資でき、1000円から積立が出来る商品として、ネット証券のバランス型専用ファンドの先駆けになりました。

しかし、このファンドには、新興国の株式と債券が組み入れられていません。同じコンセプトで新興国を含めたファンドがあれば更に魅力的な商品として投資初心者にも自信を持って薦めることの出来る商品になると思います。もちろん新興国もインデックス運用で、資産配分は年1回リバランスによって見直しです。

※マネックス資産設計ファンドエボリューションというファンドがありますが、こちらは機動的な資産配分変更を行うファンドで、資産設計ファンドとは別の付加価値を追求した商品です。

■これが欲しい(2)GDP比率で通貨配分された債券インデックスファンド
債券インデックスは通常、債券の残高規模に応じてインデックスを算出しています。しかし債券というのは借金のことですから、この方法だと、国ならば、財政赤字が大きい国の方がインデックスにおける比率が大きくなってしまいます。

それを改善するためのインデックスとして、国内総生産(GDP)をベースにした債券インデックスです。これは国ごとの経済規模などからインデックスの比率を算出するものです。

どちらが良いインデックスなのかは調べてみる必要がありますが、新しいインデックスをベースにした商品として魅力があると思います。

■これが欲しい(3)ファンダメンタルズインデックスの株式ファンド

債券インデックスと同様に株式の時価総額に基づくインデックスにも問題が指摘されています。TOPIXなど多くの株式インデックスは時価総額を計算し、その比率に基づいて組み入れ比率を計算しています。

しかし時価総額で計算すると、いわゆるバブルのような時期になると企業の時価総額が過剰に大きくなり、その分組み入れ比率が高くなってしまうという問題があります。

そこで、このような問題を解決する方法として、ファンダメンタルインデックスというものが開発されました。これは自己資本、キャッシュフロー、配当水準などからインデックスを生成する方法です。企業の根元的な価値(ファンダメンタルズ)から作られるインデックスです。

ファンダメンタルズインデックスを使った株式のインデックスファンドはネット証券ではまだあまり提供されていないようです。インデックス運用の選択肢の1つとしてあれば良いな、と思います。

■インデックスファンドは次のステージへ

インデックスに関して言えば、インデックス運用かアクティブ運用か、という問題から、どのインデックスを使うか、というテーマに移りつつあると思います。

インデックスに関しては、明日発売の日経マネー10月号の連載コラム「知っているようで知らないお金の話」でも取り上げていますのでご興味ある方はご一読ください。

今回の話のまとめ---------

■ 証券会社の投資信託の品揃えは本数ではなくクオリティで評価すべき
■ 多様なインデックスに対応した投資信託があれば選択肢が広がる

■ インデックスかアクティブかという2元論の次の議論が始まっている


では、また来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
ツイッター:http://twitter.com/Shinoby7110

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