2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
資産配分を考える際に、まずは6つの資産の種類に分類して比率を計算する、モニタリングという方法を以前のコラムでご紹介しました。
10月は3ヶ月に一度の資産チェックの月(バックナンバー)
http://lounge.monex.co.jp/column/shisan/2010/10/08.html
その際、株式は為替リスクがあるか無いかという違いで日本株と外国株に分類しました。しかし、もしさらに細かく分類するということであれば、外国株式に関して先進国と新興国という2つに分類する方法が考えられます。
■ 日本株、先進国株、新興国株
外国株式を先進国と新興国をどのように分けるのか、についてはMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)社の分類を使うのが一般的です。同社のホームページには、国の構成について最新の情報がアップデートされています。
MSCI社の主なインデックスの説明ページ
http://www.mscibarra.com/products/indices/international_equity_indices/definitions.html
こちらのページを見ると、例えばMSCIが先進国に分類している国は、日本を含め24カ国になっています。
MSCIワールドインデックスの構成国(日本を除く)
オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、香港、アイルランド、イスラエル、イタリア、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、米国
(2010年5月末現在、MSCIサイトより)
一方、新興国に関しては、エマージングマーケッツインデックスに分類される新興国が、21カ国になっています。
MSCIエマージングマーケッツインデックスの構成国
ブラジル、チリ、中国、コロンビア、チェコ、エジプト、ハンガリー、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、メキシコ、モロッコ、ペルー、フィリピン、ポーランド、ロシア、南アフリカ、台湾、タイ、トルコ
(2010年5月末現在、MSCIサイトより)
先進国と新興国では経済成長率にも大きな違いがあります。先進国は人口流入が続くアメリカでも3%程度の成長に留まり、欧州や日本は1~2%という低成長が続いています。それに対し、新興国は5%以上の成長を続ける国が多く、この傾向はしばらく続くと考えられます。
外国株の中で、先進国と新興国の配分比率をどうするか、はこれからの投資成果に大きな影響があります。
■ さらにフロンティアマーケット株が追加された
さらに、2007年からMSCIは、エマージングの次の投資対象としてMSCIフロンティアマーケットというグループの発表を開始しました。MSCIフロンティアマーケット指数に含まれている国は、新興国よりもさらに経済規模が小さく、これからの発展が期待される国を集めたインデックスです。
構成国は変動しますが、MSCIのサイトに掲載されているのは次のような国々です。
アルゼンチン、バーレーン、バングラデシュ、ブルガリア、クロアチア、エストニア、ヨルダン、ケニア、クウェート、レバノン、リトアニア、カザフスタン、モーリシャス、ナイジェリア、オマーン、パキスタン、カタール、ルーマニア、セルビア、スロベニア、スリランカ、チュニジア、トリニダード・トバゴ、ウクライナ、UAE、ベトナム
(2009年6月末現在、MSCIサイトより)
先進国から新興国、そしてフロンティアマーケットへ。個人投資家の投資エリアは、今後さらに拡大することが期待できます。
■ 外国株は個別国よりグループで認識すべき
MSCI社の分類は、あくまで1つのインデックス算出会社の決めたものに過ぎません。また、構成国の見直しが頻繁に行われるため、最新の情報をフォローしておく必要があります。
いずれにしても外国株投資で大切なことは、個別の国への投資を考える前に、その国がどのカテゴリーに分類されているのかを認識しておくことです。
日本国内では、先進国と新興国の一部の国以外はあまり馴染みが無く、投資に関する情報も入ってきません。例えば、アフリカの国の中には高い経済成長を実現する国も現れていますが、日本でのアフリカのイメージは貧困や内乱といったネガティブなイメージが強く、注目されていないのが現状です。
フロンティアマーケットの国々には、新興国以上の将来性が期待できますが、投資判断ができないような国もあり、また現時点ではフロンティアマーケットに投資をしたいと思っても投資商品の品揃えは充分ではありません。マネックス証券の新興国に投資するファンドの一部には、フロンティアマーケット国に投資をしている商品もありますが、現状は先進国と新興国が中心です。
こんなにある、新興国を投資対象とするファンド
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/guest/G600/trt/target07.htm?fund=8
とは言え、BRICsを始めとする新興国も、日本国内で投資信託を使って投資できるようになったのは、ここ数年のことです。フロンティアマーケットへ投資をする商品も今後拡充していくと思われますが、その時も3つのグループのバランスを考えて投資していくことが大切です。
今回の話のまとめ---------
■ 外国株式は先進国、新興国に分けて考える
■ フロンティアマーケットも今後の投資対象として意識しておく
■ 国別に投資をする前に、グループで考える習慣をつけよう
では、良い休日を・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
ツイッター:http://twitter.com/Shinoby7110
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