その444 「サラリーマンは自宅を買うな」と言う5つの理由とは?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

その444 「サラリーマンは自宅を買うな」と言う5つの理由とは?

<お知らせ>----------------------------
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(※クリックすると講談社「現代ビジネス」のウェブサイトに遷移します)
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以前、「ハイブリッド投資術」という書籍を共著で出したことのある、ビジネスパーソンでもあり不動産投資家でもある石川貴康さんが、新刊を出しました。タイトルは何と「サラリーマンは自宅を買うな」という過激なものです。

「サラリーマンは自宅を買うな」石川貴康著
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4492732764?ie=UTF8&tag=monexuncojp-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4492732764

「ハイブリッド投資術」などマネックス関連書籍はこちら
http://www.monexuniv.co.jp/learns/book.html

■ 時代の変化によって、安全がリスクに変わる

マイホームが人生の夢や目標だという人はいつの時代にもたくさんいます。また、将来の安心のために自分の家を持ちたいと考えている人もいます。しかし、石川さんはマイホームは安心ではなくリスクであると言い切ります。
ビジネスパーソンが自宅を持つリスクは5つあるとしています。

リスク1. 住宅ローンが払えなくなるリスク

住宅ローンというのは長期で返済する借金です。ローン期間中の収入が返済金額を充分支払えるだけの余裕が無ければ、住宅ローンの返済に翻弄される人生になってしまいます。万が一、病気・怪我、失業といったことになれば、支払いができなくなるリスクがあるのです。また変動金利で借りているローンには金利上昇リスクがあります。

リスク2. 自宅を持つことによって新たなコストが発生するリスク

賃貸と持ち家を比較して、どちらがおトクなのか比較するのは、住宅関連記事では定番の人気テーマです。よく、マイホームを買えば家賃がかからないとメリットが強調されますが、コストがかからないと勘違いしているケースが意外に多いのです。

購入時には自宅の価格にプラスして、税金、ローン関連手数料、火災保険・地震保険など。これが購入金額の5~10%になります。さらに購入後の維持コストもかかります。固定資産税は毎年支払う必要がありますし、マンションであれば、修繕積立金、管理費があります。

また、持ち家には想定していない追加のコストがかかることがあります。
リスク3. マイホームによって機会損失を生むリスク

マイホームという場所に縛られ、住宅ローンという借金に縛られることによって、行動が制約されてしまうリスクです。環境の変化によって引越ししたい、転職したい、というような自分自身の対応を考えた時に、マイホームが逆に足かせになってしまう可能性があるということです。

リスク4. 余力が無くなって収入拡大できないリスク

マイホームによって自分のお金と時間に余力が無くなってしまうと、将来の収入拡大が出来なくなってしまう可能性があります。退職後起業をする、余裕資金で投資をする、といった今の仕事以外の収入を得る手段には資金が必要です。そんな資金的な余力だけではなく、時間的な余裕もマイホーム購入が奪ってしまう可能性があるのです。

リスク5. 自分の資産が効率的に活用されていないリスク

住宅ローンでマイホームというのは、お金を借りる力を自宅に使ってしまっているということです。住宅ローンを借りることができるのは、その人に信用という価値があるからです。返済できる能力があると判断されたから、お金を貸してもらえるのです。

その信用をマイホームに使うのがベストなのかは、考えてみる必要があります。もしかしたら、信用というせっかくの自分の資産を無駄使いしているかもしれないのです。

■ 自分が住む不動産ではなく、投資する不動産にお金を使う

同じ不動産を保有するのであれば、マイホームではなく投資目的で考えれば、上記の5つのリスクは一変します。

投資目的の不動産というと、アパートや賃貸用マンションに投資するという方法もありますが、物件の見極めが難しく、多額の資金が必要です。誰でも簡単に出来ることではありません。

実物不動産に投資をする方法に比べハードルが低いのが、不動産投資信託(REIT)を活用する方法です。また、REITを組み入れた投資信託もあり、1000円からの投資も可能です。

REITの簡単な説明

http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/guest/G678/trt/jreit01.htm
REITや投資信託を使えば、

・原則としていつでも解約できるので流動性がある

・投資金額を少額に抑えることができる

・レバレッジをかける必要がない

・賃料の一部を分配金や配当として受け取ることができる

という不動産投資が可能になります。

■ 大切なのは変化に対応できる柔軟性

石川さんが指摘するリスクはマイホームを保有している人全てに当てはまるわけではありませんが、マイホームを持っている人、これから買おうという人は、自分のケースに当てはめて考えてみる価値はあります。

これからのライフスタイルで重要なのは、固定化しないで変化に対応できる柔軟性を維持することです。イメージで言えば、コンクリートのように堅強な安全さを追求するのではなく、竹がしなるような柔軟性を持つようにすることです。予想できない将来の変化に対して、いつでも対応できるようなしなやかさが必要になってきます。

資産運用に関して言えば、柔軟性とは流動性のことです。投資のリスクと言うと株価や為替の変動のような市場リスクだけではなく、資産が現金化できないという流動性リスクについても考慮すべきだということです。

今回の話のまとめ---------

■ マイホームという資産を保有することは安心ではなくリスク

■ 不動産保有の目的をマイホームから投資に変えると状況は変わる

■ 投資のリスクとして見逃してはいけないのは流動性

では、良い週末を・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍

株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長

ツイッター:http://twitter.com/Shinoby7110

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