その445 もしリーマンショック後に日本株に投資をしていたら?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

その445 もしリーマンショック後に日本株に投資をしていたら?

日経平均が昨日終値で1万円を回復しました。単にキリの良い数字というだけではありますが、マーケット参加者への心理的な影響は大きいと思います。海外の株式市場と比較すると、11月に入ってからの上昇率は相対的に高くなっており、日本株の出遅れがようやくマーケットで認識され始めたように見えます。

マネックス証券のチーフ・エコノミストの村上と出演している、月刊マーケットの歩き方では、マーケット環境と今後の投資戦略について毎月定点観測をしていますので、ご覧ください。

「今考える投資先とは?」月刊マーケットの歩き方
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2010/news1011s.htm
2008年9月のリーマンショック以降、個人投資家の投資マインドは一気に冷え込みましたが、この2年間日本株投資をしたらどのような運用成果になったかは、投資の方法によって変わってきます。

そこで、クイズにしてみました。

<クイズ>

次の投資のうち、投資リターン(合計投資金額と現時点での評価から計算)が最も大きかったのはどれでしょうか。

A.2008年8月末(リーマンショック直前)から先月末まで1万円ずつ積立

B.2009年11月末(1年前)から先月末まで1万円ずつ積立

C.2009年3月末に一括で10万円購入

D.2008年8月末(リーマンショック直前)に一括で10万円購入

(マネックス証券のセレクトファンドである日経225ノーロードオープンの月末基準価額を使って概算で計算してみます)

日経225ノーロードオープンの月末基準価額の推移はこちら

http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kijunlist/guest?MeigCd=++0048850000&monthly=1

それぞれ、どうなったか昨日の基準価額で時価評価してリターンを計算してみましょう。

A.もしリーマンショックの直前から積立投資していたら?

2008年8月末から毎月1万円ずつ先月末まで積立をしたとすると、合計の積立額は27万円になります。平均取得価額を計算してみると6,095円になりました。昨日の基準価額は6440円ですから、単純にリターンを計算すると5.6%になります(時間経過価値は考慮しません)。

B.もし1年前から積立投資していたら?

2009年11月から毎月1万円ずつ先月末まで積立をしたとすると、合計の積立額は12万円になります。平均取得価額は6,289円となり、Aと同様に単純リターンを計算してみると、2.4%というリターンになりました。

C.もし最安値で一括購入していたら?

リーマンショック以降の月末の基準価額で最も低かったのは2009年2月の基準価額4,789円です。このときに一括購入していれば、34.4%という高いリターンになります。

D.もしリーマンショックの直前に一括購入していたら?

リーマンショックの直前2008年8月の基準価額は8,236円です。このときに一括で購入していたら、リターンは何とマイナス21.8%になっています。

結果は、Cが最も良くAとBもプラス。しかしDは大きなマイナスになりました。
■積立には2つのメリットがあるが、錬金術ではない

クイズからわかることは、一括購入はうまくいけば大きなリターンにつながるが、タイミングを間違えると大きなマイナスになってしまう可能性があるということです。

一方、積立であればタイミングによってブレはありますが、一括購入に比べリターンのブレが小さくなります。

また、金額を固定して積立をすることによって、基準価額が低くなるとたくさんの口数が購入できる、ドルコスト平均法を実践することができます。例えばAの場合、基準価額の単純平均は6,179円になりますし、Bの場合も6,319円と、月次の定額積立に比べると平均は高くなり、その分効率が悪いと言えます。

しかし、積立をすれば絶対に利益が出るわけではありません。基準価額が長期的に上昇していかなければ、そもそも投資自体をしない方が良いということになってしまうのです。

■日本株はこれからどうなる?

では、日本株はこれからも上昇するのでしょうか?確実なことは誰にもわかりませんが、専門家の意見は参考にすることができます。

ストラテジストの見方「11,500円の水準は時間の問題」(PDFファイル)http://www.monex.co.jp/static/jpmorgan/strategy/strategy_20101118_1.pdf
そして、さらに詳しく知りたい方は、本日夜のセミナーで(こちらはマネックス証券に口座をお持ちの方限定です)

注目銘柄を紹介する、日本株オンラインセミナー最終日
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2010/news1011k.htm
日経平均が1万円を越えたからといって慌てて一気に投資をするのではなく積立による時間分散の効果をしっかり活用すべきです。

今回の話のまとめ---------

■ 日経平均は、まだリーマンショック前の水準には戻っていない

■ 月次の定額積立によって、リターンのブレを抑えることができる

■ 積立は錬金術ではなく、相場動向次第で成果は変わる

では、良い週末を・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍

株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長

ツイッター:http://twitter.com/Shinoby7110

マネックスからのご留意事項

「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧