2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
毎月分配金を受け取ることができるファンドが人気です。マネックス証券の投信販売ランキング上位のファンドも多くが毎月分配型になっています。
マネックス投信販売ランキング(最新分)
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/guest/G600/trt/index.htm
毎月分配型ファンドは、年金世代にはありがたい商品です。年金だけでは十分ではない毎月の手取り額を分配金によって補うことができるからです。資産を殖やしながら使っていく人にとっては、希望のキャッシュフローが実現できる使い勝手の良い商品です。
しかし、毎月分配型ファンドは20代~50代の資産形成世代には向かない商品です。受け取った分配金を再投資する人もいるようですが、通常の分配金(普通分配金)には、10%の税金がかかります。300円の分配金が出て、税引き後270円になったものを再びファンドに投資するのであれば、最初から分配金を受け取らないでファンドの中で殖やしていった方が効率的です。
投資信託は、目的に合った商品を選択しないと意味がありません。良く効く風邪クスリは風邪をひいている人には役に立ちますが、二日酔いの人には効果が無いのと同じです。
■毎月分配型ファンドはリスクの高い商品
もし、自分に必要なファンドが何かがわかったとして、次にやるべきことは、自分が選んだ商品の中身をきちんと理解しておくことです。
金融リテラシー研究所の調査によると、毎月分配型ファンドを保有する人の6割が「海外に投資していない」あるいは「海外に投資しているか分からない」と回答したという結果もあります。
毎月分配型の投信購入者の6割 海外に投資していることを知らず
http://www.asahi.com/business/update/1128/TKY201011280231.html
毎月分配型ファンドについてまず知っておくべきことは、リスクの高い商品であるということです。
投資先は高い金利や賃料収入が期待できる海外債券や海外REITなどが中心。どちらも為替リスクがあり、円高になれば基準価額は下がっていきます。投資している外国債券の金利やREITの賃料が定期的に入ってきても、為替の変動によって円ベースの金額は変動しますし、投資元本も影響を受けます。
■毎月分配型ファンドは基準価額の変動を加味して評価する
毎月分配型ファンドを購入している投資家は、分配金だけに注目し、基準価額の変動を気にしない傾向があります。しかし基準価額が下がれば、その分分配金を出せる余力は無くなっていきます。
投資信託の評価は、分配金だけではなく基準価額を合わせて考えなければいけません。例えば、基準価額が1万円で毎月分配金が40円支払われたファンドがあったとすると、分配金だけを見ると、年間で480円の分配金ですから、4.8%のリターンと計算できます。しかし、もし、その間に基準価額が480円下がっていたら、トータルのリターンはゼロになってしまいます。
つまり、1年前からの毎月分配型ファンドのリターンを知りたければ
リターン=(1年間の基準価額の変化+毎月の分配金合計)÷1年前の基準価額
で計算しなければいけないのです。
今週発売になった、ダイヤモンド・マネーでは、毎月分配型ファンドの"見せかけの利回り"と"本当の利回り"の比較をしています。基準価額の変動を加味して計算すると、分配金だけから計算した場合に比べ10%以上利回りが下がっているケースもあります。
毎月分配型ファンドの「本当の利回り」大公開!(ダイヤモンド・マネー)http://www.zai.ne.jp/list/d_money-current
毎月分配型ファンドを選ぶ場合、基準価額の変動も加味したリターンで過去の運用実績を確認すると共に、ファンドの資金流入、純資産額、信託報酬や販売手数料なども比較し、投資対象がどこなのかも確認した上で購入するようにしましょう。
分配金を毎月受け取れるという点では同じであっても、ファンドによって運用成果は大きく変わってくるのです。
今回の話のまとめ---------
■ 毎月分配型ファンドは必要な人と必要ない人がいる
■ 毎月分配型ファンドはリスクの高い商品
■ 分配金だけではなく基準価額も合わせて評価をする必要がある
では、良い週末を・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
ツイッター:http://twitter.com/Shinoby7110
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