その450 この1年で最も上昇した投資対象は何?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

その450 この1年で最も上昇した投資対象は何?

今日はクリスマスイブ、そしてあと1週間で今年も終わりです。今年1年の資産運用の成果はいかがでしたでしょうか?

まだ年末まで、何が起こるかわかりませんが、11月までの資産クラス別のリターンを見ると、この1年の相場の動きを大きく俯瞰することができます。
個人投資家の加藤優一さんという方が作っているマイインデックスというサイトがあります。こちらのサイトでは、世界3000以上の様々な市場のインデックスをまとめて掲載しています。このデータを見ると、1年間の投資リターンの意外な結果が見えてきます。

株式から不動産、コモディティまで~主要インデックスのリターン一覧
http://myindex.jp/major_i.php

■ 先進国株式の中で、日本株のパフォーマンスは良かった

まず、株式を見ると、1年間の日本の株式市場のリターンは、先進国の平均(MSCIコクサイ)の約3%に比べ、良かったことがわかります。ただし、この数字は、円ベースでのリターンですから為替の影響も含まれており、現地通貨ベースのリターンとは異なることには注意が必要です。例えば、ユーロ安の影響で、欧州株式のリターンは円ベースではマイナス5.2%となっています。

■ 新興国の中で、BRICsのパフォーマンスは相対的には悪かった

新興国全体のインデックスであるMSCI エマージング・マーケット・インデックス(約12%)と、MSCI BRICsインデックス(3.2%)を比較すると、前者の上昇率がかなり大きかったことがわかります。さらにMSCI中国を見ると2.7%の上昇に留まっています。

新興国においては、BRICs以外の新興国の株価上昇が大きかったと言えるわけで、新興国投資でも国によってリターンに大きな差があったことがわかります。
■ 貴金属の上昇率は例外的に高い

金価格の上昇が、マーケットで注目されていますが、金以外の貴金属も大きく上昇していることがわかります。データを見ると金(13.9%)以上に、銀(44.8%)やパラジウム(88.6%)の上昇が大きくなっています。穀物や原油などを含めてたコモディティ全体のインデックスは、あまり大きな上昇にはなっておらず、一部の貴金属の高い上昇が目立ちます。

■ 不動産市場も世界的に底入れ

不動産(REIT)のインデックスも上昇しています。その中で、グローバルREITインデックス(17.3%)に比べ、東証REIT指数(30.9%)の上昇の方が大きいことがわかります。東証REIT指数は、1年で見ると、新興国REIT指数の上昇も上回っています。これは、意外に思う方も多いかもしれません。

このように過去1年で見ると、マーケットの動きは商品によってかなり異なっていることがわかります。また、もう少し長い期間を見れば、過去のマーケットの動きが必ずしも将来と相関しないことも見えてきます。

2011年の市場がどのようになるかの予想は、プロでも当てるのが難しく、過去のデータを見れば見るほど、長期で資産を分散する以外に明確な投資戦略が無いように私には思えます。

皆さまが、来年も投資でよい結果が出せることをお祈りしています。1年間ご愛読ありがとうございました。

今回の話のまとめ---------

■ インデックスで見ると投資リターンは意外な結果になっている

■ どの資産クラスが上昇するかを当て続けることは難しい

■ 着実なリターンを得るなら一発狙いより、長期分散投資

では、素敵なクリスマスイブを・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
ツイッター:http://twitter.com/Shinoby7110

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