2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
毎月21日は月刊のマネー誌各誌の発売日です。本日も日経マネー、ダイヤモンドZAI、ネットマネー、そしてフィナンシャル ジャパンの4誌の最新号が書店に並びました。この時期のマネー誌の定番企画は、確定申告なのですが、私が注目したのは日経マネーの株主優待特集です。
株主優待から確定申告まで~日経マネー3月号の目次
http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/aa0a/107892/
株主優待とはご存知の通り、権利確定日に株主になっている人に優待物が送付されるサービスです。例えば、マネックス証券では毎月、権利確定となる銘柄の中から、株主優待を実施予定の銘柄を紹介しています。
今月末に権利確定する銘柄の場合、権利付最終日は1月26日です。この日までに購入・保有して、株主としての権利を獲得すれば、優待を受け取る権利が得られます。
マネックス証券がセレクト 1月に権利確定となる主な銘柄
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2011/news11015.htm
株主優待には、自社製品や自社サービスの割引券といった会社が多いのですが、中にはお米、食品ギフト詰め合わせ、といった本業と直接関係の無い商品を送ってくれる会社もあります。
この株主優待は、個人投資家には大人気なのですが、機関投資家にはあまり歓迎されません。投資信託が、投資先の銘柄の株主優待を受け取った場合、金券ショップなどで換金しています。航空会社や鉄道会社の優待券などは現金化できますが、賞味期限のある食品やマイナーな企業の優待券などは換金ができず破棄するケースもあります。
■ 株主優待は小口投資家に有利なことも
また、株主優待は配当と異なり、保有株数に完全比例していません。例えば、1月の銘柄の中に、このような株主優待制度の会社があります。
100株以上500株未満 ギフトカード 2,000円
500株以上1,000株未満 ギフトカード 3,000円
1,000株以上 ギフトカード 5,000円分
100株なら2,000円分もらえますが、10倍保有していても1,000株では5,000円分しかもらえません。保有株数に比例する株主優待もありますが、配当と違って保有株式数によって損得が発生するのです。
上記の例だと、100株なら2,000円ですが、500株なら100株あたり600円になってしまい、小口保有が有利になります。
■ 株主優待は配当より低コストになることもある
私は、株主優待で銘柄を選んで投資する方法には否定的です。これは、言ってみれば分配金だけを見て毎月分配型投信を選ぶのと同じで、目先の利益しか考えていない投資法だからです。
しかし、投資対象として有望な銘柄を選び、それらの株主優待をチェックしてみるのは、意味があると思います。株主優待には、歪みがあるからです。
企業が配当をすると、その分企業価値は下がります。例えば、時価総額100億円の企業が配当を5億円支払えば、理論的には企業価値は95億円になるはずです。
ところが、自社製品や自社商品券・割引券で株主優待を実施する場合、コストは原価分しかかかりません(郵送代などが別途かかりますが)。
例えば、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドの株主優待は、入場パスポートですが、株主優待を使った来場者が増えても、追加でかかるコストはわずかです。同じ金額を配当で支払えば、その分企業価値が減少してしまいますが、株主優待なら、低コストで、個人株主にメリットを与えられます。しかも、もし株主優待を使って来場して買い物してもらえば、更に売上に貢献してもらえます。
このように、株主優待が配当のように企業価値を減らさずに、投資家にメリットを享受できれば、企業側、個人投資家の双方にメリットがあるのです。
■ 「株主優待+配当利回り」を参考にする
そう考えると、株主優待を実施する会社の株主になることは、配当ほど株式価値を落とさないで、優待というメリットを得られるという、歪みによる投資妙味が出てくる可能性があります。
必要の無い優待は、投資家にとってメリットにはなりませんが、自分が欲しい優待を配当と同じように利回り換算してみる。銘柄分析に配当と株主優待も合わせて投資判断をするのは、面白い投資法です。
日経マネーの特集では、優待+配当利回りという基準で銘柄を具体的に紹介していますが、株主優待情報はマネックスのサイトから検索してみることもできます。
これは便利!株主優待検索で銘柄を調べてみる
http://www.monex.co.jp/ServiceInformation/00000000/guest/G100/srv/screening_yutai.htm
また、今回はコラムをご覧の皆さまから抽選で「見て楽しい株主優待 2011年上期」を10名の方にプレゼントいたします。
-----------------------------(応募要領)----------------------------
https://seminar.monex.co.jp/public/application/add/1742
応募受付期間:2011年1月21日(金)~1月28日(金)
※当選の発表は、商品の発送をもって代えさせていただきます。
※プレゼントにご応募いただいたお客さまより取得した情報に基づき、当社の
サービス等についてのご案内を行う場合があります。当社の個人情報の利用
目的等については、下記リンク先をご参照ください。
http://www.monex.co.jp/AboutUs/1/guest/G909/privacy/index.htm
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株主優待は使い方次第で面白い投資になりますが、優待内容が変更になるリス
クにも注意が必要です。突然の条件改悪で株価が下落という銘柄もありますの
で、飽くまでも投資対象としても魅力がある銘柄から選ぶようにしましょう。
今回の話のまとめ---------
■ 株主優待は配当に比べ、投資家にも企業にもメリットがある場合がある
■ 株主優待は株数に比例した優待にならないことがある
■ 株主優待だけで銘柄を選ぶのではなく、まずは投資対象としての魅力から
では、また来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織
の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
ツイッター: http://twitter.com/Shinoby7110
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