2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
資産運用のオーソドックスな方法として、コア・サテライト戦略というものがあります。これは、運用資産を大きく2つに分けて、それぞれの投資先を選んでいく手法です。
どのように分類するかは、色々な考え方がありますが、コアでは安定的な成長を目標にし、サテライトではそれ以外の投資を行うのが一般的です。例えば、コアはインデックスファンドを使って、株、債券、REITなどに分散投資し、サテライトは、コモディティやヘッジファンドのようなオルタナティブ投資商品といった具合です。
このサテライト部分に組み入れることができる投資対象として最近、個人的に興味を持っているものを3つご紹介したいと思います。
<商品1> 実物海外不動産現在発売中のマネー誌「ダイヤモンドZAI」5月号に掲載されているのですが、実は2月に米国の不動産を取材してきました。サブプライム問題以降、全米の住宅価格は下げ止まらない状態が続いていますが、一部の地域では反転の兆しが見え、長期的には投資機会と見ることもできます。
日本の投資家にとって、米国不動産は円高と物件価格の下落がフォローの風になっています。物件の個別リスクがあり、誰でもできる方法ではありませんが、取材で同行した個人投資家は、フロリダで物件を購入してしまいました。今後、海外へ資産を動かす動きが強まれば、このような投資も選択肢の1つになると思います。
アメリカ不動産 リアル購入ドキュメント!(ダイヤモンドZAI 5月号目次)
http://www.zai.ne.jp/articles/-/903?page=2
<商品2> フロンティアマーケット株式株式投資は先進国から新興国にその比率がシフトしてきています。数年前には、中国、ロシア、インド、ブラジルといった新興国に投資をする日本人は数えるほどでしたが、今や先進国よりこちらの方が人気の投資エリアです。
そんな新興国の次の投資先として期待できるのが、フロンティアマーケットと呼ばれる新しい投資対象国です。ある外資系証券会社では「Next generation」というコンセプトで投資国の選定を行っています。例えば、バングラデシュ、クロアチア、ベトナム、レバノン、カザフスタン、スロベニア、ケニヤ、アルゼンチン、ナイジェリアといった聞きなれない国が並んでいます。数年前にBRICsがほとんど知られていなかったのと同様に、これらの国にもいずれ投資をするのが当たり前になるのでしょう。であれば、今から投資を始めれば先行者メリットがあるかもしれません(ただし、日本からの投資方法は極めて限定的です)。
<商品3> 震災復興を支援する商品これは、必ずしもリターンだけを狙う商品ではありませんが、復興支援をサポートするのに義援金や寄付より長いコミットを実現できる仕組みです。
例えば、ミュージックセキュリティーズ株式会社が企画する「セキュリテ被災地応援ファンド」は、被災地で復興に取り組む事業者と、個人をつなげ資金調達とファンづくりで支援するプラットフォームです。出資という方法なので一度きりではなく、事業の復興まで継続することができます。
セキュリテ被災地応援ファンドとは?
http://www.musicsecurities.com/fukkofund/
また、これはもはや投資とは言えないかもしれませんが、復興支援「牡蠣オーナー」制度というのもあります。これは、1口1万円で三陸の牡蠣の復興を応援するもので、数年後に出荷が再開された時に、三陸産殻付牡蠣20個前後が届けられるというものです。既に数千人が申し込んでいるようです。
復興支援「牡蠣オーナー」制度
http://www.sanriku-oysters.com/owner.html
2つに共通するのは、お金以外のいわゆるコミュニティリターン(商品購入予約や体験などお金以外の価値)が入っていることです。また、一時的な支出とは違い長期的なサポートを通じた関わりができる点が特徴です。
残念ながら、今回ご紹介した商品はマネックス証券では取り扱いをしておりません。コアの運用にはマネックス証券を使っていただき、今日ご紹介したサテライトな投資も組み合わせて、今までになかったお金の活用を考えてみてはどうでしょうか?
今回の話のまとめ---------
■ 資産運用はコア&サテライトで整理するとわかりやすい
■ 海外への資産の分散も真剣に考えるべき
■ 震災復興支援であれば持続可能な仕組みに投資をするのが良い
では、また来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
ツイッター: http://twitter.com/Shinoby7110
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