2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
私事ながら、今週末に「こんな時代を生き抜くためのウラ「お金学」講義」という書籍を出版することになりました。この本には、投資の具体的なテクニックや金融商品は出てきません。その前に考えなければいけない、お金に対する基本的な考え方をまとめたものです。
【新刊】こんな時代を生き抜くためのウラ「お金学」講義
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479793135/monexuncojp-22/ref=nosim
紹介しているのは、お金に関する習慣です。もしかすると、このコラムの読者の皆さまには基本的な話が多く、物足りないかもしれませんが、私は、投資のテクニックよりも大切なことだと思っています。
<習慣1> 目先の安さで判断しない
いわゆる「安物買いの銭失い」という状態です。例えば、5千円の靴と5万円の靴のどちらが安いか?5千円の方が目先は安く感じますが、5万円の靴が10倍長持ちすれば損得は逆転します。安いものを買うより、高くても質が良く長く愛用できるものにする方が、結局は安上がりということになるのです。
投資信託の分配金に惑わされて、商品選択してしまうのもこれに似ています。
<習慣2> お金だけでなく、時間も有限と考える
お金は足りないけど、時間は無限にあると思いこんでいる人がいます。例えば、10円安い大根を求めて15分かけて隣の街のスーパーまで行く人がそうです。15分かけて10円ですから、時給は40円です。時間は無限にあると勘違いしているからこのような行動をしてしまうのです。
時給換算で考える習慣をつけることで何をすべきか見えてきます。投資も分析にかけた時間と得られたリターンを時給で考えてみると「投資の時給」が計算できます。
<習慣3> 感情的に行動しない
感情的になって極端な行動をしてしまうと良いことはありません。震災の時も、株価が下落してパニックになり、日経平均が8000円台前半に下落したところで売却してしまった投資家がいます。
また、放射性物質が怖いから、と関西に"避難"している東京人がいるようですが、客観的な測定データを見れば、少なくとも現時点でそのような感情的な行動は無意味であることがわかります。
感情的に行動するのは、誤った判断をしてしまう悪い習慣なのです。
<習慣4> メリハリをつける
お金のコントロールには、仕事と同じようにメリハリが大切です。全てをやろうとするのではなく、効果のあることを集中的にやった方が効率的なのです。
例えば、5円、10円といった小銭を貯めて節約する。やらないよりは良いですが、合計では大した金額になりません。それよりも、例えば必要の無い保険を辞めて3000円削れば、年間で3万6千円。30年なら100万円近くの支出を減らせます。
このように大きな支出と小さな支出はメリハリを意識すべきなのです。何でもやみくもにやるのは悪い習慣です。
<習慣5> 希少性を考える
モノの値段は需要と供給で決まります。供給が増えないものは価値が落ちにくいと考えることができます。
例えば、東京の一等地にある中古マンションの価格はナゼ下がりにくいか、あるいはビンテージワインはなぜ価値があがっていくのか。どちらも供給量が限られている、あるいは減っていくからです。
逆に需要が減る、あるいは供給が増える可能性のあるものは、価格が下落するリスクがある。そんな風に考える習慣をつけると、何に投資すべきかが、見えてくるのです。
<習慣6> 権威にだまされない
大学の先生が言っている、芸能人が愛用している、というように専門家や有名人の権威付けに影響されるのは悪い習慣です。有名演歌歌手を広告塔に使った金融詐欺事件もありましたし、専門家の言うことが必ずしも正しくないというのは、今回の原発事故の報道でもわかりました。
人の言うことを、肩書きや知名度だけで鵜呑みにしてしまうのではなく、何が正しいことなのかを自分で納得する習慣をつけるようにしましょう。
<習慣7> 「結局は何とかなる」という発想から抜け出す
今まで何とかなってきたから、これからも何とかなる、という発想は危険です。日本はこれから大きく変わっていくことが予想されるからです。震災に関係なく、少子高齢化問題、財政赤字問題、年金問題、人口減少問題、と日本には問題山積です。これらが将来の私たちの資産を大きく変えていく可能性があるのです。
将来を考え、今から手を打っておく習慣をつけることがとても重要だと思います。
書籍は今週末には店頭に並ぶと思います。お手に取っていただければ幸いです。
今回の話のまとめ---------
■ お金の基本を知ることは投資のテクニックより大切
■ 震災はお金との付き合い方の習慣を見直す好機
■ 過去の延長に未来は必ずしも無いことを知っておく
では、また来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
ツイッター: http://twitter.com/Shinoby7110
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