2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
投資の主役は先進国から新興国へ。これが、多くの投資家の共通認識だと思います。成長の鈍化した先進国よりも、21世紀の主役になるBRICsをはじめとする新興国には、リスクもありますが、長期的な投資対象としての魅力がある。これに異論を挟む人は少ないでしょう。
そんな見通しに基づく、具体的な投資信託の商品選びを丁寧に解説した書籍が発売されました。投信評価会社モーニングスター代表取締役の朝倉智也さんの新刊「30代からはじめる投資信託選びでいちばん知りたいこと」です。朝倉さんから送っていただき、早速読ませていただきました。
■ これからは、どんなポートフォリオにしていくべきか投資で最も大切なことは、資産配分(アセットアロケーション)です。マネックスでも、たくさんのお客さまから頂いた具体的な投資方法の相談に回答する「ポートフォリオ診断」は人気コンテンツになっています。
30代から60代まで~他の投資家はどんな方法で資産運用しているのか?
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2011/news11012.htm
朝倉さんが提案している資産配分は上記のアドバイスに比べ、かなりアグレッシブです。
外国株式が60%
外国債券が30%
金が10%
と、国内資産を組み入れないですべて海外資産で運用する。しかも、先進国と新興国に資産の半分ずつを振り向けるという、大胆なものです。
例えば、株式の時価総額で見れば新興国の比率は2割以下ですから、先進国と新興国に半分ずつという資産配分案は、かなり新興国に傾斜した配分だということがわかります。その根拠になるのが成長性の違いということになるのですが、そこには不都合な真実もあるのです。
■ 経済成長と投資リターンは関係なし?英国のビジネス誌「The Economist」に経済成長と投資リターンには明確な相関関係が見られないという研究結果を掲載した記事があります。
「The missing link(失われたつながり)」(英語です)http://www.economist.com/node/18713528
これを読むと高い経済成長率が必ずしも高い株式リターンにつながるとは限らないという結果が出ています。比較する期間によっても結果は異なるでしょうが、少なくとも「高成長=高株式パフォーマンス」というような単純な図式にはならないことは確かなようです。
■ 資産配分の考え方は人それぞれ新興国がこれからも高い成長を続けたとしても、それが株式投資の高いリターンに直接つながらない原因は、いくつか考えられます。魅力的と考えられているから値上がりしてしまい割高になる、あるいはインデックスでカバーしているのはあくまで新興国の企業の一部だけだから、インデックス投資をしても成長の果実をすべて受け取ることができないといった理由です。
インデックスファンドで投資をする場合であっても、どの国のインデックスにどの位の投資をするのかは、考えなければなりません。朝倉さんが提案する上記のポートフォリオは私には少しアグレッシブ過ぎではないかと感じられます。
朝倉さんがなぜこのようなポートフォリオを提案しているのか?直接お話を聞きたいと思い、来月配信の投信つみたてクラブ対談(マネックス証券で投信積立をしている方に毎月お届けするメールマガジンに掲載)のゲストにお越しいただくことにしました。
刺激的なお話が聞けそうです。
「投信つみたてクラブ」バックナンバーはこちら
http://www.monex.co.jp/FundOrderConfirmation/00000000/guest/G600/tsumitate/club_bknm.htm
今回の話のまとめ---------
■ 資産配分を考えることこそが投資で一番大切
■ 新興国は高成長しているが、高リターンかどうかは諸説ある
■ 資産配分の考え方は人それぞれ
では、また来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
ツイッター: http://twitter.com/Shinoby7110
マネックスからのご留意事項
「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。