2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
今年の2月にマネー誌ZAIの取材でフロリダの不動産投資の取材に行きました。アメリカの不動産市場はリーマンショック以降価格が崩壊。特にフロリダ、ネバダといったリゾート系の街が多い地域の価格下落が顕著です。
まだ底打ちが見えていないマーケットですが、現地で実際の物件を視察した結果、物件をきちんと選択すれば投資対象としては魅力があるのではないかと考えました。物件の写真と感想を当時のブログにアップしていますが、東京では年収1500万円の人が住んでいるような家にフロリダでは年収4万ドルの人が住んでいるのは、別の意味で驚きでした。
8割以上値下がりしているフロリダの不動産(写真付き)
http://www.shinoby.net/2011/02/post-2328.html
■アクティブが向いている市場、インデックスが向いている市場
投資の手法は大きく分けてアクティブ運用とインデックス運用があります。市場が効率的、つまり情報が市場全体に短時間で広がり、他の投資家に対して優位な状況になりにくい市場ではインデックス運用をすべきといわれます。
株式市場のような市場の流動性が高く効率性の高い市場では、ご存知のように平均を上回るリターンを実現するのは簡単ではありません。投資の基本として、まずはインデックス運用すべきと考えるのはこのような理由からです。
一方で、効率性がそれほど高くないと考えられる市場ではアクティブ運用の出番が出てきます。その典型が不動産投資ではないかと思います。
■不動産は歪みから収益を狙える投資対象
不動産市場というのは、株式や為替に比べると効率性が低いと考えられます。その理由はいくつかありますが、例えば、投資金額がある程度必要であること、個別性が強くコモディティ化しにくい、取引コストが高い、といった点があります。またローンを付けてレバレッジをかけた投資になっていることが多く、売られるときに、多くの投資家が同時にダメージを受け、価格が大きく下落するといった特徴があるように見えます。
地域性が強い不動産は、マンハッタン、銀座といった世界的な一等地を除いて、グローバルな競争にさらされにくいのも市場が歪む原因になります。
日本における不動産保有者を見てもわかりますが、相続によって物件を保有している人や、あまり研究しないまま不動産会社のパッケージ商品を購入している人も多く、アクティブ運用によるリターン向上の余地が大きいと思われるのです。
■不動産投資は分散投資とどう両立させるのか
不動産投資の最大の問題は投資資金が大きくなってしまい、分散しにくいことです。長期分散投資で不動産を組み入れる場合、資産の10%程度が目安になっていますが、これでは金額があまり大きくできません。
昨年、不動産投資家の石川貴康さんと共著で刊行した「不動産投資×証券投資 最強のハイブリッド投資術」では実物不動産と分散投資のハイブリッドな投資法を提案していますが、不動産に関しては、効率性の高い金融商品とは別の管理方法が必要になってきます。
不動産投資は万人向きではありません。しかし、もしトライするなら市場の効率性を考えればアクティブ運用にも検討の価値があります。
このように、投資に際してアクティブかインデックスかの選択は、市場の特性でかなり決められるように思います。
今回の話のまとめ---------
■ 市場によってインデックス・アクティブどちらが向いているかは変わる
■ 歪みの大きな市場はアクティブ運用を検討する価値がある
■ 不動産投資は分散投資との両立を考えたアクティブな手法を検討できる
では、また来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
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