その476 ネット証券専用ファンドシリーズは買う価値があるのか?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

その476 ネット証券専用ファンドシリーズは買う価値があるのか?

資産倍増プロジェクトでネット証券専用ファンドが、リリースされています。
三菱UFJ投信が運用する「日本株式を投資対象とするファンド」、DIAMアセットマネジメントが運用する「国内新興市場を投資対象とするファンド」、そして「新興国の中小型株を投資対象とするファンド」の3つですが、この中で個人的に最も興味を持っているのが、DIAMアセットマネジメントが運用する新興国中小型株ファンドです。

このファンドは、アクティブ型の株式ファンドではありますが、ファンドマネージャーが銘柄をピックアップするような手法ではなく、データに基づくクオンツ的な運用が特徴です。

■ 投資対象が中小型株である理由このファンドの魅力はまず投資対象です。新興国の株式市場の中でも特に中小型株に注目しています。このセクターは過去のデータを見ると相対的なパフォーマンスが良かったことがわかります。中小型株は内需関連セクターの比率が高く、このセクターに対するアクティブなポートフォリオによる運用成果を期待できます。

■ 低ボラティリティ戦略から市場の歪みを見つけるまた、ボラティリティの低い銘柄を集めることによって、運用成果を高める低ボラティリティ戦略を採用しています。これは従来のリスクとリターンの考え方とは異なるものです。

時価総額比率で投資比率を決定する従来の方法が必ずしも効率的ではなく、むしろこの株価の変動率(ボラティリティ)の小さい銘柄を中心にポートフォリオを構築する方が投資効率が高くなるという現象は、実証研究で観測されている事実です。

リスクの小さいものの方が、同じリスクで見たときのリターンの期待値が大きいということです。

■ 買う前に考えるべきこと今までの投資信託では得られない投資対象や運用手法を持った商品ではありますが、このファンドを買う前にはいくつか検討すべき点があります。

まず、ネット証券専用ファンドということで、販売手数料のかからないノーロードにはなっていますが、信託報酬は年率1.995%と2%に近い水準です。新興国の中小型株という特殊な投資対象であるから、高めになっているのは仕方無い面もありますが、コストに見合った投資成果が出せるかどうかは未知数です。

設定されたばかりのファンドでは、運用成果がまだ見えません。例え理論上は優れた運用手法だとしても、実際にファンドのリターンという形で実績がなければ選ぶのには勇気が必要です。

低ボラティリティ戦略が本当に付加価値を生み出すかどうかについて、しばらく運用の状況を見てから購入を判断しても良いでしょう。

新興国株式ファンドとしては、比較的リスクの抑えられた商品と言えますが、相場の変動による影響は当然受けることになります。新興国への投資では、特に積立を使って時間を分散させる方法が良いと思います。

1年後のこのファンドの運用実績が楽しみです。

新興国中小型株ファンド

http://www.monex.co.jp/pdf/fund2/U860.pdf

今回の話のまとめ---------

■ 新興国の中小型株は運用実績からは魅力的な投資対象

■ 高信託報酬はそれに見合った投資成果があるかが問題になる

■ 運用実績を確認してから購入するのも手

では、また来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍

株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長

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