第 155 回 流行に流されない為の新興国投資の考え方

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第 155 回 流行に流されない為の新興国投資の考え方

<質問>
このところ、日経平均が10000円付近をさまよっています。
やはり今は、日本株よりも新興国への投資のほうがよいのでしょうか?
中桐さんは、インド、中国やブラジルなどどこが一番よいと思いますか?
<回答>

ご質問ありがとうございます。今週はガイア株式会社の中桐が回答します。 
2003年にゴールドマンサックスがBRICsという言葉を発表して以降、新興国投資について注目が集まるようになりました。新興国というと、なにかリスクが多く、危険な感じもしますが、成長国と置き換えれば、成長する企業に投資をする株式投資と同じく、これから中長期的に成長していく国に投資をするのは当然です。

新興国投資について私がよくする話が"母を訪ねて3千里"です。昔、アニメで見た方も多いと思います。母を訪ねて3千里の設定は1882年、イタリアのジェノバに住むマルコがアルゼンチンのブエノスアイレスに出稼ぎに行ったお母さんを訪ねて3千里の旅にでるというものです。今では考えられませんが、当時はイタリア人がアルゼンチンに出稼ぎに行っていたのです。1900年前後のアルゼンチンは先進国であり、ブエノスアイレスは南米のパリと言われていたほどです。残念ながら、その後アルゼンチンは軍事クーデターなどにより、国内産業が育たず、先進国から脱落してしまいます。

このように、現在は先進国、もしくは成長が見込める国であっても、継続的に国が成長、繁栄していくというのは意外と難しいものです。

そこで、投資家個々人の基準が必要になります。私の一つの基準は「資源より試練」です。資源を輸出することによって反映している国は、資源価格が下がると、繁栄の礎を失います。よって私はブラジルやロシアなど資源に頼っている国にはあまり投資をしようとは思いません。

一方、試練を経験し、日本の戦後のように資源が無い中でも、自動車産業のように安全で安いという付加価値をつけることによって外貨を稼ぎ、そのお金を拡大再生産に回しているような国には投資をしようと思います。今でいうと中国とインドにあたります。

「豊かさの誕生」の著者ウィリアム・バーンスタインは国が発展する4つの条件として

【1】私有財産権

【2】科学的合理主義

【3】資本市場

【4】迅速で効率的な通信・輸送手段

を挙げています。

個人投資家のみなさまも自分なりの持続的成長可能な国の条件、基準を設けることによって、目先の株価の動きに惑わされること無く、長期的に投資を続けることができ、その成長のリターンを得ることができると思います。

コラム執筆:
プライベート・ファイナンシャル・プランナー
株式会社ガイア 
代表取締役 中桐 啓貴

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