第 160 回 郵貯限度額2,000万円時代を先取りせよ!今からやっておくべき投資法

今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。

第 160 回 郵貯限度額2,000万円時代を先取りせよ!今からやっておくべき投資法

<質問>
ゆうちょ銀行の預け入れ限度額が、1000万→2000万円になると報道さ
れています。これによって金融市場にどんな影響があるのでしょう
か?個人的には今まで以上に大きな金額を預金する人が増えて、株式
市場から資金が流出し日本株にはマイナスではないかと思うのですが。

<回答>
ご質問ありがとうございます。今週はマネックス・ユニバーシティの
内藤が回答いたします。

郵便貯金の預け入れ限度額の上昇は、「貯蓄から投資へ」の流れを
「投資から貯蓄へ」に逆行させるもの。株式市場にとって少なくとも
プラスの要因にはならないでしょう。日本の個人投資家の安全志向に
拍車をかけてしまうかもしれません。

しかし、それ以上に別の問題があると指摘されています。

1.他の金融機関への経営圧迫

郵貯に資金が集中することになれば、他の金融機関から資金がシフト
する可能性があります。元々公平なルールになっていない中で、民間
金融機関にマイナスの決定をいきなり決めるのは、銀行株にもマイナ
スです。

2.財政赤字問題の先送りリスク

郵貯は約8割を国債で運用しており、郵貯資金が大きくなれば、今後
増えていく国債の消化先になる可能性があります。つまり郵貯が「国
債の引受機関」となってしまうのです。これは国債の需給にとっては
プラスになりますが、財政赤字問題を先送りしてしまうことになりそ
うです。

3.国債の運用リスク

さらに今回の決定を受けて、鳩山内閣では、公共事業や海外投資、国
家ファンドの創設など郵貯マネーの「使い道」が議論されていると報
道されています。郵貯の資金はあくまで預金者の財産です。それが、
国債購入に当てられ、最終的には政府による市場原理に基づかない運
用が行われてしまいます。今までと変わらないバラマキの原資になっ
てしまう恐れはないでしょうか?

日本は国の債務残高のGDPに占める比率がギリシャよりも高い状態にな
っています。にも関わらず、問題が表面化しないのは国債の保有者が
国内投資家で90%以上になっているからです。

郵貯の今回の決定は、この状態をさらに長く続けようとするものです
が、問題を先送りして、巨大なマグマがさらに大きく膨らんでいく危
険があります。

リスクシナリオとして、国債下落に伴う、円安を想定するのであれ
ば、「投資から貯蓄へ」ではなく、今こそ「円預金から外貨投資へ」
を実行していくことです。目先の短期的な相場観ではなく、5年後を
考え、今から準備を始めるべきではないでしょうか。

コラム執筆:

内藤 忍 1964年生まれ
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長

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