今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。
<質問>
人民元の切り上げが最近話題になっていますが、個人投資家として何をしておけば良いでしょうか?
<回答>
ご質問ありがとうございます。今週はマネックス・ユニバーシティの内藤が回答いたします。
人民元を巡る動きを簡単にまとめておくと、中国は2008年7月以降、元相場を1ドル=6.8元台に実質的に固定してきました。これは、金融危機によって国内の輸出の失速を防止するためでしたが、環境は変わりつつあります。
香港市場のNDF(ノン・デリバブル・フォワード)と呼ばれる人民元の先物市場は、例えば1年物であれば1年後の為替相場を取引するものですが、市場は緩やかな人民元の切り上げを織り込んでいる状況です。
人民元の切り上げは、中国の輸出企業にとってはマイナスの影響がありますが、一方で中国国内の消費者にとっては自国通貨の上昇は購買力の向上につながります。人民元の切り上げが遅れていることが中国国内の不動産価格の上昇や物価上昇の一因になっているとの見方もあり、今後切り上げは不可避というのが一般的な見立てです。
もし今後、想定通り緩やかに人民元が切り上がっていくとしたら、どのような投資戦略が考えられるでしょうか?
検討できる商品としては、
人民元の外貨預金
中国B株の個別銘柄
中国A株に連動するような投資信託
などが考えられます。
外貨預金は一部の銀行で取り扱いをしているようです。また株式については人民元建てのA株は直接投資できませんが、投資信託を通じて間接的に投資することは可能です。また、B株は外国人投資家向けで米ドル、香港ドル建てですが、マネックス証券などのネット証券で取り扱いをしています。B株は人民元建てではありませんが、中国国内でビジネスを展開している企業であれば人民元切り上げのメリットを享受する企業も出てくるはずです。
人民元の切り上げは、単純に考えれば中国投資のメリットになるように見えますが、為替相場の変動幅によってはマクロ経済や個別企業にネガティブな影響が出る可能性もあります。また、切り上げのスピードや程度については、政府の意向が強く働き予想通りになるかどうかは不透明です。
中国に限らず、新興国への投資は資産の一部を振り向けるべきですが、いずれの商品に投資する場合も、資産配分の分散と投資タイミングの分散を心がけてください。大きな可能性がある投資先であると同時に、想定外の市場変動が起こる可能性もあるリスクの大きなマーケットです。
コラム執筆:
内藤 忍 1964年生まれ
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
マネックスからのご留意事項
「お金の相談室」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。