今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。
<質問>参議院選挙も近づき日本の政治についての報道が多くなってきま
したが、特に財政・消費税について関心があります。個人的には今後増税となると思っています。その場合、投資スタンスとしてはどのように行動したらよいのでしょうか?
<回答>ご質問ありがとうございます。今週はマネックス・ユニバーシティの内藤が回答いたします。
税収不足による財政状態の悪化と共に消費税に関する議論が活発になってきています。世論調査によれば、国民の半数は消費税の引き上げに賛成という結果も出ており、財政再建のためには増税も止む無し、と考える人も増えてきています。
消費税アップの影響を考える場合、増税によって政府の財政状態が好転すると単純に考えることはできない点には注意が必要です。
例えば、消費税が引き上げられたらどうなるか?個人的にはいくつかのシナリオが考えられると思っています。
引き上げの結果、消費が冷え込み、成長率がマイナスになれば、増税効果が相殺され、物価上昇率が一時的に
プラスに転じたとしても、再びデフレ状態が続く可能性もあります。この場合、金利は低下し、税収は再び減
少し、財政状態は好転せず、問題が先送りされるだけになりかねません。株価に対してはマイナスです。
逆に消費税引き上げにも関わらず景気回復が実現すれば、インフレ率がプラスに転じ、市場金利の上昇が予想されます。国債価格は下落し、国債の利払いが増えることになりますが、名目GDPも増加すれば、税収も増加し、財政状態は好転。株価にはポジティブな影響が期待できます。
また、増税するとしてもそのタイミングが遅れ、その間に財政悪化を市場が織り込み、円の市場金利が上昇することになれば、利払いは増加し財政状態は悪化。この場合は、悪い金利上昇になり、円安、株安になる可能性もあります。
さらに消費税に関して言えば、本当に引き上げられるのか、またその水準やタイミングを予測するのは、地震の予知と同じように簡単ではありません。
つまり、今後の市場がどうなるかは、いくつかのシナリオが考えられ、それぞれにどのような市場の動きが予想されるかを考え、対策を考えることが重要です。株価下落の可能性もありますが、円安や金利上昇、インフレなどのリスクも考え、資産配分の見直しを行っておきましょう。
コラム執筆:
内藤 忍 1964年生まれ
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
マネックスからのご留意事項
「お金の相談室」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。