第 166 回 ユーロの底値は今なのか?!

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第 166 回 ユーロの底値は今なのか?!


<質問>
ギリシアの財政危機からユーロが売られています。ユーロ関連の投資は、これからしばらくは見送った方が良いのでしょうか?


<回答>
ご質問ありがとうございます。今週はマネックス・ユニバーシティの内藤が回答いたします。

ユーロの今後を考える上で大切なことは、短期的な値動きではなく、ユーロが抱えている問題を整理し、それに対してどのような見通しを持つかを考えてみることです。短期的な相場の動きは、政府や中央銀行要人の発言や当局からの発表によって動くことがあり、事前に予想することが極めて難しいからです。

中長期的なユーロの問題を考えてみましょう。

まず、ユーロ加盟国は通貨の切り下げができません。ギリシアの通貨はドイツやオランダと同じユーロなので、自国通貨の下落によって、経済の輸出競争力強化という方法が取れないのです。強い競争力を持たないギリシア以外の南欧諸国を含め、これらの国がユーロの中でどうやって経済競争力を取り戻すか?これができなければ、財政赤字の根本解決は難しくなります。

次に、欧州中央銀行(ECB)の問題があります。インフレに対する強い姿勢によって信認を得ていたECBがユーロ圏内の政府の国債を購入することを決めました。今回の決定により、ECBの独立性についての疑念が生まれ、ユーロという通貨への信認低下につながるリスクがあります。

さらに、財政の引き締めによって金融政策は緩和が続くことが予想されます。すると、金利差からユーロは他通貨に対して売られやすくなる可能性があります。また、現状のユーロの水準も対ドルでの購買力平価では割高であるという意見もあり、さらにユーロが下落する可能性もあるのです。

ユーロには、各国が財政政策を行いECBが金融政策を担当するという構造的な問題があり、根本的な解決策は見えていません。結論としては、ユーロの中長期的な課題に方向性が見えるまでには、まだ時間がかかるのではないでしょうか。

このような現状の問題点とその解決策について考えてみることで自分なりの相場観がクリアになってきます。その上で、投資戦略を考えてみることをおススメいたします。


コラム執筆:内藤 忍 1964年生まれ
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長

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