第 168 回 iPadから見えてくるこれからのマーケット

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第 168 回 iPadから見えてくるこれからのマーケット

<質問>
日本でもiPadが発売されました。iPhoneやiPadのような革新的な商品は米国企業から生まれることが多いと思いますが、日本企業にはかつてのソニーやホンダのような独創的な商品を生み出す力はもう無いのでしょうか?だとしたら日本株への投資はあまり魅力を感じず、やめた方が良いと思ってしまうのですが。

<回答>
ご質問ありがとうございます。今週はマネックス・ユニバーシティの内藤が回答いたします。

先週の米国株式市場では、マイクロソフトの時価総額をアップルが抜いたことが話題になりました。ウィンドウズで圧倒的な収益力を誇ったマイクロソフトが、iPhoneやiPodのような新商品を次々にヒットさせるアップルに企業価値で抜かれてしまった。米国のIT業界ではこのような、激しい企業間競争の中からグローバルな市場で通用する新しい商品やサービスが次々と現れてきます。

この中には、日本企業は出てきません。しかし、IT分野だけを見て日本企業に悲観的になるのは必ずしも正しい見方とは言えないと思います。

日本企業の中にも、独創的なデザインや技術でグローバル競争に挑む会社もあります。有名な会社では、例えばファーストリテイリングのように海外進出を加速し、GAPやZARAといった海外のアパレル企業と競争している会社もあります。また、日本電産のようにHDD(ハードディスク駆動装置)用モーターで世界シェア7割の会社もあります。

iPadのような商品からわかる重要なことは、他社のマネをしていてはグローバル市場での成功は無いということです。また、国内市場だけをターゲットにしたビジネスではグローバル企業にはコスト面で太刀打ちできないし、市場の成長性にも限界があります。

企業の将来性を分析するのは、非常に難しい作業ですが、どこの国の会社かということで判断するのではなく、独創的な商品、サービスによりグローバルな競争を意識した経営をしているか、という視点が重要です。

また、もう1つの注意点は市場で評価が高まった会社は、その分割高になっている可能性があるということです。例えば、iPadがメディアで話題になればなるほど、アップル社の株価は期待を織り込んで上昇してしまい、割高になっているかもしれません。

いくら優良な企業であっても、人気が過熱して「価格>価値」になっている会社には投資してもリターンは得られないのです。


コラム執筆:内藤 忍 
1964年生まれ
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長

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