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<質問>
中国への投資をしていましたが、住宅バブルもはじけつつあるので中国への投資はやめようと思っていますが、中桐さんはどう思われますか?
<回答>ご質問ありがとうございます。今回は、プライベート・ファイナンシャル・プランナーの中桐啓貴がお答えします。
今月初めに、上海に2泊3日で行ってきました。私が最初に上海に行ったのが1997年、次が2005年、前回が2007年、そして今回で4回目になります。新興国投資をする際には、実際にその国を訪れ、街の発展の雰囲気を肌で感じるというのはとても大切になります。2つの事例をご紹介します。
1820年代にはスペインから独立した南米諸国で鉱山が大量に発見されるという噂が立ち、当時産業革命によって裕福になっていた英国の中間層がこぞって南米に投資を始めました。(南米の鉱山バブルと言われています。)しかしながら、実際に数千キロ離れた南米諸国を訪れた英国人など皆無に等しく、この鉱山バブルは英国人技師の現地レポートにより、言われているほど南米諸国には鉱山がないことが分かり、バブルは弾けました。
新興国投資のカリスマである米国人ジョン・テンプルトンは1960年代に日本株に集中投資をしました。1960年代の日本は世界の注目を浴びることなどなく、たいていは低賃金のもとで劣悪かつ安価な製品を生産する国としか見られていませんでした。しかしながら、ジョン・テンプルトンは1960年代に日本が粗悪品の生産国から、複雑度の高い工業製品の生産国へとバリューチェーンの階段を登っていくことに確信を持ちました。それは、彼が日本を訪問するたびに日本人の強い倹約精神とたゆまない労働倫理を日本人が持っていることに気がついたからです。そしてまだ誰もその価値に気づいていない頃に投資を始めます。
当時、他のアメリカ人は日本に投資をしませんでした。その理由が
「株価の変動が並外れて大きいこと」「情報が十分でないこと」でした。これは今の日本の投資家が中国などの新興国に抱くイメージで似ています。
今回上海滞在中には、上海万博にも行きました。毎日30万人~50万人の中国人が万博を訪れ、数年前まではその服装で中国人と分かったものですが、今回はその格好からは中国人なのか日本人なのか区別がつきませんでした。また地下鉄は13本市内を縦横無尽に走り、交通渋滞でもほとんど自転車を見かけることがなくなっており、レストランにいくと予約で満席でした。
新興国から先進国への階段を登り始めるのは一人当たりGDPが3000ドルを超えてからと言われており、日本も韓国も台湾も同じ道を辿り、3000ドルを超えてから中間層が台頭し、消費に火が付き始め、株価もGDP成長率と歩を同じくして上がり始めたものです。
しかしながら、株価が高いときに投資をしていては儲かりません。今のように、中国の成長に対して懐疑的な見方が多数を締めていたり、局地的に起こっている不動産バブルを和らげようとしたりしている時にこそ、長期的な中国の成長を予想しているのならば中国への投資をするべきだと思います。
そのために、世間一般の論調ではなく自分で判断する必要があります。
ぜひ一度成長の風を感じに中国を訪れてみて下さい。
コラム執筆:中桐 啓貴 氏
プライベート・ファイナンシャル・プランナー
株式会社ガイア 代表取締役
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