第 179 回 学校では教わらないお金のこと、子供に伝えるポイントとは

今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。

第 179 回 学校では教わらないお金のこと、子供に伝えるポイントとは

<質問>
もうすぐ、子供が6歳になります。そろそろ、お小遣いなどと絡めてお金について知ってもらうきっかけとしたいなと思っていますが、岡本さんは、子どもにおカネのことを教えるとき、どのような話をしていますか?

<回答>
今回は、I-O ウェルス・アドバイザーズ株式会社の岡本和久が回答します。
私は、経済同友会の「学校と企業・経営者の交流活動推進委員会」に所属しており、予定が合う限り、中学生や高校生向けにお金について話をさせてもらっています。
毎回、子供たちに次のような質問をするのですが、いつもだいたい同じような割合で、同じ答えが返ってきます。

おカネのイメージは美しいが17%、汚いが83%。お金持ちのイメージは、良い人が20%、悪い人が80%。
面白いのは、それでも、おカネを稼ぐことは、良いことと答える子どもが99%だということです。まさに「ネジレ」ですね。

まず、おカネのイメージを変えなければいけない。そこで、最初に話すのは「おカネは感謝のしるし」だということです。
「君たちがお手伝いをしたときお母さんがおこづかいをくれた。そのときお母さんはどう思っていると思う?」と聞くと、当然、「感謝している」、「ありがたいと思っている」という返事が返ってきます。
「ほら、だからおカネは感謝のしるしなんだよ」と。お店で欲しいものを買うとき、大切なおカネを手放す。
これも感謝しているからですよね。

では、どうして、おカネやお金持ちのイメージが悪くなるのか。それは簡単です。感謝されないでおカネだけ手に入れようという人が時々いるからです。でも、そういうことはすぐにばれてひどい目にあう。そして、新聞やテレビでたたかれる。我々の目に触れるのはそのような話ばかりで、それでおカネやお金持ちのイメージが悪くなるんでしょうね。

しかし、ほとんどの人は一生懸命、額に汗してお客に喜ばれようと働き、おカネを稼いでいるんです。おカネと感謝は手と手を取り合って世の中をぐるぐると回っています。私は板チョコをいつも教室に持っていきます。それを見せながら、普通、こんな話が続きます。

私 このチョコレートなんでできてるか知ってる?
生徒 カカオの豆?
私 そうだね。じゃあ、そのカカオの豆ってどこでとれるの?
生徒 ガーナ?
私 そう。そのほか南米などの暑いところでとれる。そこで現地の人が汗をかきながら豆をつんでいる。その人たちはその豆を売って生活をしているんだ。

その豆を商社が買いつけ、船に乗せて、日本のお菓子工場に持ってきて、チョコレートにする。そして、お菓子屋、コンビニ、スーパー、キオスクなどに運ばれ、それを我々は買っているのです。
その全作業に関係するすべての人が、「おいしいチョコレートを作ろう」という目標のもとに協力して板チョコができている。それがひとつ100円。その100円の中には関係した人たちすべてに対する感謝が詰まっている。そして、その人たちはそのおカネで生活している。

そう考えるとおカネって感動するほどすごいものです。世界中の人を結び付けているんですからね。「人」という漢字は二人の人間が支えあっている姿からできたといいますが、世の中にたった一人で生きられる人なんていません。みんな、お互いに助け合いながら生きている。

「自立」と言うけれどそれは一人で生きることではないんです。人の助けを借りて生きる。だから人も助けてあげる。おカネってそういう人と人との「ご縁」ということを教えてくれます。「ご縁」だから日本のおカネは「えん」というのかな、などとも思ってしまいます。

子どもたちに本当に知ってもらいたいのは表面的なおカネのことではなく、そのおカネを支えている人間の感謝の心やその人たちの生活についてです。できるだけその点を強調して話すようにしています。このテーマについては「親子で学ぶマネーレッスン(拙著、創成社)」親子で学ぶマネーレッスン style=
という本をだしていますので興味があれば読んでみてください。


コラム執筆:
岡本 和久
ファイナンシャル・ヒーラー(R)
CFA 協会認定証券アナリスト (Chartered Financial Analyst)

I-O ウェルス・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長

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