今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。
<質問>前回のお話「株式低迷期の仕込みのコツ」で『感謝の投資』というのが大切であることはわかりました。世界中の株式を買うとのことですが、それでは、日本株と外国株をどれぐらいの割合で買えばいいのでしょうか?
<回答>ちょっと、復習しておくと投資には『応援の投資』と『感謝の投資』がある。応援の投資というのは、自分が望むような社会を自分に代わって作ってくれる企業を応援するつもりでする投資。感謝の投資とは、我々の毎日の生活を支えてくれる企業に感謝を込めて投資をするというものでしたね。
我々の生活はいまや、世界中の企業によって支えられています。だから、感謝の投資は、世界中のできるだけ幅広い企業を持つことが必要だと述べました。また、感謝の投資は応援の投資以上の金額にした方が良いことも説明しました。
さて、今回はその感謝の投資の中身をどうするかという質問です。それに答える前に、まず、人生を通じての資産運用の目的について考えてみましょう。結論から言うと資産運用の最低限の目的は「購買力の維持」です。おカネはインフレに弱いのです。2%のインフレでも36年続くと物価は倍になります。と、言うことはおカネの価値は半分になってしまいます。購買力を維持するということは、今日投資する100万円で買えるものが、いまから30年、40年後でも同じように買えるだけの価値に増やしておくということです。
ちょっと極端な例えですが、もし、みなさんが毎日使うすべてのモノやサービスがたった一社で供給されているとしましょう。その会社がすべての商品の価格を1割上げたとします。そうするとみなさんが持っているおカネの価値が1割減ってしまうことになります。これに対抗するにはどうしたらいいと思いますか?そう、その会社のオーナーになってしまえばよいのです。株式を買って、株主になるのです。そうすれば、その会社が値上げで儲けた利益は株主のものとなって長期的には株主に還元されてきます。もちろん、その会社全体を買うには膨大なおカネがいるでしょうが、全部を買う必要はありません。全体のわずかしか持っていなくても、大株主と同じように持分に応じて利益を配分してもらうことができます。
さて、感謝の投資は我々の生活を支えてくれる「企業全体」を買います。ありがたいことに、最近は、グローバルなインデックス投信やETFがあるので世界中の企業を買うことは簡単です。要するにそのような投資信託を保有しておけば、上の例にあるたった一社の株式を持っているのと同じ効果があるのです。特にインデックス投信は保有銘柄も十分に分散され、しかも、コストも安いのでまさにこの目的にピッタリです。
と、いうことでご質問に答えましょう。株式ポートフォリオのどれぐらいを海外に投資したら良いかという点です。ひと口に言えばみなさんの生活がどれぐらい外国の企業に支えられているかということによります。もちろん、最終製品だけではなく、食料や石油、鉄鉱石など原材料もすべて含めてです。厳密な比率はわかりません。でも、私は大体、半分ぐらいということで良いのではないかと思います。ですから、もし、株式に振り向ける資産が100万円なら、50万円を日本株式として東証株価指数に連動するインデックス投信かETFを持つ。残りの50万円を外国株式として、外国株式インデックス投信やETFを持つのです。外国株式の50万円のうち40万円を先進国株式、10万円を新興国株式にするのも良いと思います。我々の生活、新興国にお世話になっている比率はどんどん上がっていますからね。
つまり、たった3銘柄ぐらいの投信を保有すれば、世界中の企業に投資ができ、「購買力の維持」という目的を達成できる確率が高いのです。普通、投資というと、一番、上がりそうなものを選んでそれを買います。でも、資産運用はちょっと違います。どれが上がるかではなく、全体のバランスをとって、それを保有して、安定的に資産の増加を目指すのです。
コラム執筆:
岡本 和久
ファイナンシャル・ヒーラー(R)CFA 協会認定証券アナリスト (Chartered Financial Analyst)I-O ウェルス・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長ウェブサイトはこちら
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