第 189 回 初めが肝心!投資の定義とは

今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。

第 189 回 初めが肝心!投資の定義とは

<質問>2010年8月20日のこのコラムで岡本さんは「学校では教わらないお金のこと、子供に伝えるポイントとは」という文章を書いていました。おカネのことを教えるポイントはわかったのですが、それでは「投資」ということはどのように教えたらいいのでしょうか?
8月20日のコラムはコチラ


<回答>質問をありがとうございます。おカネの話の次は投資のことを書かなければいけないと思っていましたので、ありがたい質問です。なぜなら、おカネと投資はセットで考えるべきものだからです。どういうことかはこれからお話しますが、まず、投資と言っても多くの子供は「言葉は聞いたことがあるが、何のことか知らない」というのが普通でしょう。まあ、私の経験でも「親が株や投信なんかの話をしているのは聞いたことがある。おカネが儲かるとか、損するとかいうことと関係があるようだ」という程度の理解をしている子供が時々いる程度です。

経済学的な定義はともかく、子供に教えるときには、「投資とは、将来の大きな喜びを得るために、いま少し我慢すること」であるという点を一番、しっかりと理解させることが大切です。本当はいま、欲しいものを買うためにおカネを使ってしまいたい。でも、そこで少し、我慢してそのおカネをいま、どうしてもおカネが必要な人に用立ててあげる。その人はそのおカネを活用して、世の中のためになることに使い、世の中から感謝され収益をあげる。そして、その収益の一部を、おカネを用立ててくれた「感謝のしるし」として戻してくれる。戻してくれるから「リターン」というのです。

さて、子供にとって一番、大切な投資は何と言っても勉強です。本当は遊んでしまいたい。でも、少し我慢して自分の将来のために勉強をする。「勉強は君たち自身の将来のためにやっているのだよ」というと、びっくりする子供が多いのです。出張授業の後の感想文に「はじめて勉強は自分のためにしているという話を聞いた」という子供が非常に多いのは驚くばかりです。いつも、先生と親から「勉強しろ」と言われているので、先生や親のために勉強していると思っている子が多いのです。

もうひとつ、子供たちからよく「なぜ、こんなに色々な教科を勉強しないといけないのですか?」という質問を受けます。「では、君たちは自分が本当に好きな分野がわかっているのかい?人生をかけて学びたいことがわかっているのかい」と聞くと、ほとんどの子はわかっていません。まあ、私もそうでした。「じゃあ、自分は何が好きかを発見するために、色々な分野の勉強をするよりしょうがないじゃないか」というと、「あ、そうか」という顔を多くの子供がします。意外に「なぜ、勉強をするか、なぜ、色々な教科を学ぶか」という根本のところがわかっていないような気がします。

私はこんなことを子供たちに言います。「いいかい、君たちの中には宝石の原石がたくさん眠っているんだ。勉強というのは、君たちの中にある原石を発見するために、色々な方向から光を当てているようなものなんだよ。そのうち、ピカっと光るところが見つかる。そうしたら、その分野を一生懸命に学べばいい。本当に世界で通用するプロを目指すんだ。それをやってもいないのに『できない』というのはおかしくないかい?」と。

これは大人にも伝えたいメッセージです。子供の教育についても、目先の受験に合格することが最終目標になっている。これは非常に短期の「教育投機」です。では、子育ての本当の目的は何か。それは、その子が歳をとり人生を終えるときに「ああ、良い人生だったな」と思えるように育てることです。これが本当の「教育投資」です。教育は短期投資ではなく、超長期投資なのです。最近は、ある意味、みんなが非常に短期志向になってしまっているような気がしますね。子供の教育も、自己啓発投資も、株式投資もみんな同じです。すぐに、手軽に効果を求める風潮がありますよね。

2010年8月のコラムでは、おカネは人と人の「ご縁」を気づかせてくれるということを書きました。「ご縁」というのは、空間的な広がりです。投資は、与えられた時間をどう生きるかということを考えるきっかけを与えてくれます。ですから、おカネと投資のことを深く考えることで、自分の意識の「時空」を拡大することができるのです。「自分」「いま」という小さなエゴの意識を離れて、将来の大きな自分に育っていくチャンスを与えてくれるのです。その意味では、おカネと投資は、人生を通じての「生き方」を教えてくれるのだと思います。


コラム執筆:
岡本 和久 ファイナンシャル・ヒーラー(R)

CFA 協会認定証券アナリスト (Chartered Financial Analyst)

I-O ウェルス・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長ウェブサイトはこちら

長期投資仲間のウェブ・マガジン「インベストライフ」

マネックスからのご留意事項

「お金の相談室」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧