第 192 回 株価上昇でついやってしまう、投資の失敗

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第 192 回 株価上昇でついやってしまう、投資の失敗

<質問>
リーマンショック以降、ずっとマイナスだった投資信託の積立がようやくプラスに転じました。このまま続けていて良いのでしょうか?一部を一旦利益確定しようか迷っています。

<回答>
ご質問ありがとうございます。今週はマネックス・ユニバーシティの内藤が回答いたします。

投資した商品が値上がりして利益が出てくると、売却して利益を確定したい欲求にかられるものです。投資信託もそうですが、特に個別の銘柄に投資をしている場合、値下がりして評価損になっていたものが再び上昇してくると、「やれやれ売り」といって持ち値に戻ったところで売ってしまう人がいます。

これは行動経済学のプロスペクト理論で説明することができます。投資家は投資商品の価格が上昇して利益が出る水準になると利益を確定させ、値下がりすると損失は確定させたがらない傾向があるからなのです。

しかし、このように自分の資産の評価損益がプラスになったからといって、売ってしまうのは、投資判断としては何の根拠もありません。自分がいくらで買ったか、と相場がこれからどうなるのか、には何の関係も無いからです。

今回のご質問に回答するのであれば「プラスに転じたことと投資環境は無関係。評価損益の変化によって利益確定する理由はない」ということになります。

ただし、投資信託の積立を今後も続けていく上で、どのような商品を使うかについては、定期的に資産配分の見直しをしておく必要があります。例えば、株式と債券の比率、資産全体に占める外貨比率、外国株式の先進国と新興国の比率、などです。今までのやり方を変える必要があるかどうかを確認しておくのです。

また、資産配分の比率が時間と共に変化してきますから、自分の資産をチェックして、目標とする資産配分とのズレを修正する「リバランス」も定期的に行いましょう。

投資信託の積立は、中長期的な資産形成を考える個人投資家にとって、負荷が低く、続けやすい投資方法です。ただし、どの商品をどのように組み合わせるかによって投資の成果は変わってきます。

損益に関係なく投資を継続する。ただし、現時点の資産配分を確認して、今後の投資方針を再確認する。というのが正しい方法です。

コラム執筆:
内藤 忍 1964年生まれ
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長

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