第 195 回 「情報ノート」で潮流をおさえる

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第 195 回 「情報ノート」で潮流をおさえる

<質問>岡本さんの投資の内容とその投資に必要な情報収集のやり方を教えてください。


<回答>もちろん、証券アナリストの仕事をしていた時は、関連する銘柄などにつき、会社訪問をしたり、膨大な資料を読んだり、調べたりしましたが、いまはそのようなことはしていません。

私は一応、自分ではまだミドルだと思っています。そのため私の個人資産のポートフォリオは国内株式25%、日本以外の先進国株式20%、新興国株式5%、国内債券25%、外国債券25%というものです。
基本的に株式はすべてそれぞれのベンチマークに連動するETFです。国内債券は、半分を物価連動国債の投信、残りは国債を中心とするラダー型のポートフォリオにしています。外国債券についても半分は世界各国の物価連動国債の投信、残りは外債のインデックス投信にしています。

私の投資目的は購買力の維持です。株式と債券はちょうど半々ですから、私の生活を支えてくれている幅広い世界全体の企業群のオーナーになっている部分が資産の半分、世界の企業や国にお金を貸し付けている部分が半分ということになっています。オーナーになっている部分はインフレ対応、貸しつけている部分はデフレ対応です。

投資のメンテナンスはこの比率を概ね維持することだけであり、何かが上がったから売るとか、下がったから買うというようなことは一切していません。全体のバランスが大きく崩れないようにしているだけです。

このようなポートフォリオですから、情報収集といっても投資に関連する情報で必要なものは、
【1】これから30年ぐらい、世界経済は拡大するのか、縮小するのか
【2】これから30年ぐらい、大きな潮流として世界経済はインフレ的か、デフレ的かという二点です。
それ以外の情報はあまり必要としていません。

【1】については世界の人口が増大し、しかも、発展途上国での生産が増加し、消費が高度化することを考えれば、世界経済は拡大するという判断をしています。問題は【2】ですが、目先、デフレ的影響は残るもののやはり長い目で見ると世界はマイルドなインフレ期に入りつつあると言えそうです。その結果が前述のようなポートフォリオなのです。

割り切って言えばこれらの点さえ押さえておけば、別に必死に新聞を読んだり、大量のマネー雑誌を購読したりする必要はないと思います。むしろ、あまり、そのような「刺激の強い」情報は避けるようにした方が良いでしょう。

ただ、個人的に30年ぐらい続けているのは、情報ノートを付けるということです。毎日の新聞でちょっと面白いなと思った記事の見出しを日付とともに書いておくのです。グラフや表があればそれを切りぬいて貼っておけば完璧です。また、メールやテレビなどでやはり興味のある情報があったらできるだけコンパクトにメモをしておきます。

これをずっと続けていると世の中の大きな流れとともに自分の興味の変遷がわかり、結構面白いものです。新聞を切り抜いてスクラップにすると量が大きくなり、結局、あとから見ようとしても見つからないことが多いのです。また、新聞を切り抜くときに手が黒くなるのも不愉快です。情報ノートに見出しを書いておき、将来、どうしてもその記事を見る必要があるなら図書館に行けば過去の新聞の縮刷版をみることができます。

これは、投資の判断をするためというよりは、私自身が世の中でどんなことが起こっているのか興味があるから続けているものです。特に、上記の【1】、【2】に関する私の想定と異なるできごとがあったときはちょっと注意して記事を読むようにしています。そんなわけで、私は一日のうち新聞を読むのは朝刊、夕刊をあわせて15分ぐらいでしょうか。また、継続的に購読しているマネー雑誌はありません。どうしても読みたいときは近所の図書館でちょっと眺める程度です。それでも、そこそこのパフォーマンスにはなっているので、満足しています。

資産運用は将来の生活のために絶対、必要なものですが、あくまでメインは毎日の生活です。ですから、あまり、細かい情報を収集することに時間をかけ、小賢しく頭を回転させて、売買を繰り返すことには意味がありません。それよりも、潮流を大きくつかんでおき、あとはその流れに自分の資産を乗せておけば良いのだろうと思っています。


コラム執筆:
岡本 和久 ファイナンシャル・ヒーラー(R)

CFA 協会認定証券アナリスト (Chartered Financial Analyst)

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