今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。
<質問>
3年前に購入した投資信託が、リーマンショック以降マイナスのままです。解約したいと思うのですが、今売ると数十万円の損が出るので、気が進みません。どう考えれば良いでしょうか?
<回答>
ご質問ありがとうございます。今週は、マネックス・ユニバーシティの内藤が回答いたします。
投資で含み損を抱えたまま、身動きが取れなくなっている人はたくさんいます。利益が出るときの売却は抵抗なくできるのに、損失があると売るのに心理的抵抗があるのは、行動経済学では、プロスペクト理論としてまとめられています。
投資家には、利益は確定したがるが、損失は確定したがらない、という感情バイアスがあるのです。このような心理的な抵抗を超えて、合理的な判断をするためには、意識的に感情を排する工夫が必要になります。
保有している金融商品を解約したいと思っているが、売却すると損が出るので躊躇している、という相談者のような人は、次の3つのことを考えてみてください。
1. さらに状況が悪化したらどうなるか想定してみる
損が出ているからと言って、そのまま放置しておけば、さらに損失が膨らむかもしれません。実は、損失というのは保有していても、解約しても現時点では変わりません。でも、これから先は、保有していれば、さらに損失拡大のリスクが残りますが、解約すれば、そのリスクはなくなります。解約を躊躇しているうちに、さらに値下がりしてしまう。そうなれば将来さらに後悔することになります。
2. お金が寝てしまうリスクを考える
自分が持っている資産を別の投資に回すとしたら、どんな投資対象があるかを考えてみます。解約したい商品をそのまま保有していることは、お金が有効に活用されていないことになります。その資金で別の投資対象に投資することで得られるであろう利益機会を逸しているとも言えるのです。
3. もし持っていないなかったら、と考える
もし、その商品を今所有していなかったら、買うかどうか?と自分に問いかけてみます。今の状態でも買いたいと思うなら、保有しても良いですが、今なら買いたくないと思うなら、すぐに売却しましょう。それは、過去のしがらみが投資判断に入り込んでいることを示しているからです。
今売ると数十万円の損が出る、ということですが、売却しなくても数十万円の損が存在している事実は変わりません。感情に支配されない投資判断を早く行い、後から後悔しないようにしてください。
コラム執筆:
内藤 忍 1964年生まれ
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
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