第 207 回 コア投資の投資信託でも損切りはするべきか

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第 207 回 コア投資の投資信託でも損切りはするべきか

<質問>日経平均が回復してきていますが、それでもまだ損をしている国内株式型のインデックス投資信託。数年前に購入してずっとそのままになっています。損切りして他のものにしたほうがよいでしょうか?

<回答>数年前に買ってそのまま塩漬けになっていたのですね。最初に質問をさせてください。国内株式インデックス投信とのことですが、以下のどちらの動機で買われたのでしょうか?

【1】 目先、マーケットが上昇するだろうと思った

【2】 将来(退職後)の経済基盤を作るために買った

その答えによって対処法はまったく異なります。

もし、【1】であれば、あなたは見通しを誤ったわけです。買ったときは、比較的短期で市場が上昇して、おこづかいが稼げると思ったのでしょう。しかし、現実はそうはならなかった。日経平均が戻ったといってもまだまだ儲かる水準にはかなり幅がある。そこで、損切りして他のものにすることを考えている。

最初の投資は、短期でお小遣いを稼ぐという目的からは明らかに間違いでした。ですから、損切りをするというのは悪い考えではありません。ただ、乗り換える銘柄をよく考えないと「二重遭難」ということになりかねません。

いま、乗り換えようと思っている投資対象は上がると思っているわけでしょう?でも、考えてみてください。数年前に投信を買ったときもそう思ってましたよね。ちょっと、厳しい言いかたですが、前回と今回で、どこが違うのでしょうか?今回は何か違う方法を見つけたのでしょうか?それとも、「運」に賭けているということですか?とにかく失敗を糧にして、同じ間違いをしないようにしてください。

「とかく予測は難しい、特に将来の予測は・・・」、これは、70年代、ニューヨーク・ヤンキーズを率いた野球選手で数々の哲学的名言(迷言?)で名高いヨギ・ベーラの言葉です。短期的な株価予測は、さまざまな予測のなかでももっとも難しいと言ってもよいのではないでしょうか。しかし、分散された株式ポートフォリオは、長期間保有すると、変動率が減少してきます。ですから、短期で儲けようとするのではなく、とにかく長期で保有できる投資信託を持つ。そして、もし、うまく短期で儲かればその時は「ラッキー」と思って売ればいいのです。仮にうまくいかなくても、長期投資という視点から選んでいれば心配はないでしょう。

さて、最初の質問への答えが【2】だったらどうでしょうか。こちらはもともと長期投資で買ったと考えられます。そして、国内株式インデックス投信を買ったというのも適切な選択だったと思います。この場合、「金融資産全体のポートフォリオ」がどうなっているのかを考えてみてください。

もし、全体のなかでこの投信の占める比率がかなり大きく、ほかに目立った投資対象を持っていないのであれば、これはマーケットの水準とは関係なく、リストラが必要です。例えば国内株式インデックス投信を半分、売却して、その資金で外国株式インデックス投信を買うことなどが考えられます。

しかし、すでに外国株式インデックス投信を国内株式インデックスと同程度、保有しているのであれば、そのまま何もしないでよいと思います。仮に日本株が下落したことで国内株式の比率が大幅に減少しているのであれば追加をすることを考えてもよいのではないでしょうか。これらは実際にポートフォリオを見てみないと即断できませんので、あくまで、一般的なケースとして参考にしてください。ただ、確実に言えることは、長期の資産運用においては、何が上がりそうかということでポートフォリオを作るのではなく、全体のバランス(配分比率)を守ることに注力したほうが最終的には良い結果を得られるだろうと思います。

コラム執筆:
岡本 和久 ファイナンシャル・ヒーラー(R)

CFA 協会認定証券アナリスト (Chartered Financial Analyst)

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