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<質問>
通貨選択型の投資信託に興味があります。投資の注意点があれば教えてください。
<回答>
お問い合わせありがとうございます。今週はマネックス・ユニバーシティ内藤忍が回答いたします。
通貨選択型ファンドが人気です。これはブラジルレアル、オーストラリアドルといった高金利通貨の為替リスクをファンドの運用に取り入れることによって、高い運用成績を狙おうという商品です。例えば、投資する対象はアメリカ株で、それにブラジルレアルへの投資リスクを金融派生商品などを使って上乗せし、高金利から得られる金利分もリターンとして確保できるようになっています。
この商品には2つの問題があると思っています。1つは、リスクの取りすぎです。高いリターンを狙うということはその分リスクも高くなっているということです。通貨選択型商品を購入している投資家が、このような商品のリスクを正確に理解しているかは、大いに疑問です。
そしてもう一つの問題は、コストです。通貨選択型のような商品では金融派生商品を組み合わせて、商品を設計しています。この商品構築にかかるコストが果たしてどの程度なのか?これは残念ながら簡単にはわかりません。例えばブラジルレアルの為替リスクを取ることによって本来5%のリターンが追加されるはずなのに、それが3%になっていたとしても、個人投資家にはわからないのです。2%の差額は運用会社の収益になっている訳ですが、これは信託報酬や販売手数料のようには明示されません。マーケットの水準と比較して計算しなければわからないのです。
一般的に、金融派生商品のような仕組みを使って、商品が複雑になればなるほど、取引コストや商品構築コストがかかるようになり、その分投資家のリターンの低下要因となります。さらにブラックボックス化した仕組みの場合、個人投資家が合法的にだまされてしまう可能性もあるのです。人気のある商品が、良い商品とは限りません。
私は今月でマネックスを離れることになりました。「お金の相談室」の執筆も今回が最後です。長い間、お付き合いいただきありがとうございました。
コラム執筆:
内藤 忍 1964年生まれ
株式会社マネックス・ユニバーシティ
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