第 229 回 変えられない過去の投資判断

今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。

第 229 回 変えられない過去の投資判断

<質問>数年前に購入した投資信託が大きく目減りしています。解約したいと思うのですが、今売ると数十万円の損が出るので、気が進みません。どう考えるべきでしょうか?

<回答>

今週は『ど素人がはじめる投資信託の本』『ど素人が読める決算書の本』の著者であるジョン太郎氏が回答します。

投資家の方がよくお悩みになる点だと思いますが、まず、解約した場合にその資金をその後どうするつもりなのか、を考えるべきだと思います。解約したお金で別の資産に投資するのであれば、その資産との比較で考えればよいですし、解約したお金は定期預金に入れてしまうというお考えであれば定期預金との比較をすればよいはずです。

例えば2009年にアメリカのREITに投資していたら、1年後には8割くらい下落していたはずです。100万円だったものが20万円になった、この時点でこの資産を解約したいと思うが80万円の損が出るので気が進まない。この時に考えるべきは「今から20万円を投資するとしたら何に投資するか」という点です。ご自身がいくらで買ったか、いくら損をしているか、はご自身の感情的に重要なのであってこれからの投資成果には全く関係がありません。

当然のことですが、「過去」「現在」「未来」という時間軸において、「現在」儲かっているか損をしているかを決定しているのは「過去」の投資判断です。2009年に米国REITを買わずにいれば100万円が20万円になることはなかったわけですし、定期預金にしておけば100万円と数百円の利息がついた状態になっていたことでしょう。「現在」の損益を決めているのは「過去」の投資判断であり、「過去」の投資判断を「現在」になってから変更することはできません。ただし、「未来」は違います。
「未来」の損益を決定するのは「現在」の投資判断です。「現在」の時点で、米国REITに投資しておくのか、定期預金にしておくのか、中国株にしておくのか、欧州債券にしておくのか、で5年後の損益は決まります。

変えることのできない「過去」の投資判断による「現在」の損益状況によって、「現在」のあなたであれば変えることができる「未来」の投資成果を決めてしまうのはあまりにも勿体ないことです。「未来」のあなたにとっては、「現在」のあなたがうらやましくてしょうがないことでしょう。「未来」のあなたにはどうしようもないことが、「現在」のあなたには選択権があるわけですから。

「現在」のあなたには、今あるお金の投資先を「数十万円の損失が実現してしまうのはあまりに痛くて辛いから」という理由でそのままにすることも、解約して定期預金にすることも、他の資産にすることもできます。「未来」の自分にとって、今のお金の投資先としてどの資産が一番よいのか、をお考えになることをご提案します。


コラム執筆:
ジョン太郎 
金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。
投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックを
わかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」
は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。
著書に「ど素人が始める投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

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【応募期間】2011年8月19日~2011年9月4日

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