今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。
<質問>
分配金の高いファンドを買いたいと考えていますが、買った後で分配金が下がるのではと心配です。分配金が下がらないファンドを見分ける方法はありますか
<回答>
今週は『ど素人がはじめる投資信託の本』『ど素人が読める決算書の本』の著者であるジョン太郎氏が回答します。
まず、投資信託の分配金というのは「自動解約」と同じです。お持ちの投資信託はそのままで、どこか別のポケットから分配金が支払われるようなものではなく、自分が持っている投資信託の一部が運用会社の定める方針に従って自動的に一部解約されるというものです。10,000円の投資信託から500円の分配金が出れば、9,500円の投資信託と500円の現金に換わるだけのことです。
ですから、ファンドが「どのくらい分配できるのか」は言い換えれば「どのくらい解約できるのか」ということになります。10,000円のファンドであれば当然ながら10,000円までは解約できますし、そのファンドが8,000円まで下落すれば8,000円までしか解約できませんから8,000円までしか分配することはできません。
ファンドが1年間にあげる利益よりも1年間に支払う分配金のほうが高ければ、つまり解約して取り崩すお金のほうが多ければ、ファンドに残るお金は減っていきます。最近よく「分配原資」や「分配準備積立金」という言葉が、あとどのくらい分配金を出せるかという説明に使われていますが、これはそもそも基準価額よりも大きくなってしまうことのある数字なので、どのくらい分配できるか=どのくらい解約できるか、を考えるうえではあまり参考にはなりません。基準価額以上の金額を解約することなど不可能ですからね。
「分配金額」が下がらないファンドを見分ける、つまり、「自動解約してもらっている額」が減らないファンドを見分けるには、そのファンドのリターンがどのくらいあって、それに対してどのくらいの分配金を払っているか、を比べるくらいしかないと思います。例えば、過去1年間に払ってきた分配金と、そのファンドの1年間のリターンを比べてみる、これは1つの手です。この時注意したいのは、インカムゲイン(債券のクーポンや株の配当)は来年も入ってくることがある程度期待できますが、価格変動によるキャピタルゲインは、来年も今年と同じ額が入ってくるとは限らない、という点です。
そのうえで、自分が買おうとしているファンドは年率何%くらいのインカムゲインとキャピタルゲインをもたらしてくれるか、それと比べて分配金は多すぎるかどうか、を考えるとよいと思います。今ギリシャの5年債の利回りは23%くらいありますから、これに投資しているファンドであれば、価格変動がなければ諸々の投資信託の運用コストを差し引いてもインカムゲインだけで20%くらいの分配は払えるはず、というような具合です。分配金が多すぎる場合には、今後分配金が引き下げになる可能性があると考えておけば良いのではないでしょうか。
(参考)【ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話】
売れ筋ファンドと分配利回り
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