今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。
<質問>
このところ、新興国が軒並み金利の引き上げをしているようです。
新興国のバブルがはじけたら、先進国にはどんな影響がでますか?
<回答>
今週は『ど素人がはじめる投資信託の本』『ど素人が読める決算書の本』の著者であるジョン太郎氏が回答します。
まず、金利の引き上げというのは、通常の経済状態でもインフレ率の抑制などのために行われることで、金利が引き上げられたからといってバブルが発生しているというわけではありません。インフレは国が成長する過程ではある程度発生してしまうものなので、成長のスピードが速い新興国ではインフレは起こりやすいと考えるのが普通ですし、インフレ率がある程度コントロールできている限りは特に問題ないと考えてよいと思います。IMFによれば2010年までの5年間、新興国は年率6.5%のインフレ率と6.6%の成長率で、2011年から2016年までの6年間は4.7%のインフレ率で6.6%の成長率と予想されています。
つまり、新興国はむしろこれまでよりもインフレのペースを弱めながらこれまでと同程度の成長率を保つと予想されています。もう1点考慮すべきは、今回の金融危機の中で世界中の国々が危機対応のために極端に金利を下げ、立ち直りの過程で金利を元に戻している、という点です。立ち直りの早かった新興国は何度も利上げをしているように見えるかもしれませんが、実際には元の水準に戻しているだけ、というケースも多くあります。利上げだけをもってバブルと言うのはやや乱暴な気がします。
そのバブルという概念についても触れておきたいと思いますが、基本的には株でも債券でも不動産でもコモディティでも、何にでも発生し得る現象です。そのものが持っている「本質的な価値」が上がっていないのに、買い需要の増加で価格が上がってしまい、買いの増加でかさ上げされた価格の上昇を見て「儲かる」と考える人が更にお金を入れて更なる価格上昇を招き・・・という繰り返しによって価格が上がっていくのがバブルです。何か価格が上がっているのを見て、それが「本質的な価値」の上昇による妥当な価格上昇なのか、単にお金が流れ込んだことによってかさ上げされた価格上昇なのか、は究極的には個々人が判断するしかありません。なぜかというと「本質的な価値」は誰も知らないからです。
もし、ある国のある資産でバブルが発生していて、そのバブルがはじけたらどうなるかと言いますと、かさ上げされている価格が下落します。その影響は直接的にはその資産をかさ上げされた値段で買っていた人が損をするだけのことです。間接的な影響は、例えばかさ上げされた価格で買ってしまっていたのが銀行で、その銀行が価格下落で損をしてしまって経営が悪くなって・・・というようなことが考えられます。
ですから、直接的・間接的な影響と言うのは、どこの国のどの資産でどのくらいの規模でバブルが発生していて、そのかさ上げされた価格の資産を持ってしまっているのが誰なのか、ということで変わってきますので、一概に先進国への影響を断定することはできないと思います。
(参考)
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