第243回 株主優待狙いの投資は得か損か?

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第243回 株主優待狙いの投資は得か損か?

<質問>

20代後半のビジネスマンです。

社会人5年目です。先行き不透明なので、少しでもお金を殖やしたいと思い、口座を開設しました。しかし、あまりまとまったお金も無いのですが、今後どのように考えるのがよいでしょうか?株主優待狙いの投資も気になっています。

<回答>

投資を始めるのに、まとまったお金は必要ありません。月々1万円ずつでも、数千円ずつでも投資できるのですから、まとまったお金ができるまで待つ必要はありません。また、投資や金融市場、経済に関する知識・理解というのは、実際に投資を始めると飛躍的に伸びるものです。投資をせずに勉強している期間では考えられないようなスピードで知識が身に付くため、投資を始めてしばらくの間は後悔の連続になると思います。「ああすれば良かった」「こうしておけば良かった」「もっと早く知っておけば」そう思うことばかり、というのが普通です。しかしそれは喜ばしいことであり、誰にでも起こること、です。

ですから、投資をせずにひたすら勉強をして、イザとまとまったお金で一気に投資をしてしまうと、修正するに修正できなくなったりしてしまうことがあります。少しずつ知識を身につけながら、後悔をしながら、修正をしながら、投資経験を積んでいき、収入も資産も増えてまとまったお金を投資できるようになるころにはたくさんの知識と経験が身についている、というのが理想形ではないでしょうか。まずは始めてみることが大切だと思います。

そうして投資への理解が深まればいずれお分かりになることですが、株主優待狙いの投資というのは、私自身はあまりオススメできないと考えています。100万円の株を買ったら5万円分のその会社の商品がもらえました、「実質5%の利回りだ!」と言っていたら、株価は50万円になりました、となった場合でも「株主優待をもらえたから良かった」と思えるのでしょうか。投資をする株を選ぶのに株主優待で選ぶというのはそういうことです。もちろん、マネー雑誌などに「株主優待で選ぼう」「株主優待がオトクな株ランキング」みたいなものがよく載っていることは私も知っています。しかしながら、これは銘柄を見る際の1つの視点を紹介しているものであり、投資をする人のための情報と投機をするための情報、がごちゃ混ぜになって溢れている、という点にも注意が必要です。

氾濫する情報の中から自分にとって信頼できる情報を見極めることができるようになるためにも、早めに投資を始めて、投資についての理解を深めていくことが大切だと思います。

コラム執筆:

ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

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