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<質問>
随分前に信用力の高い債券を主要対象とし、国際分散投資を目的とする投資信託を購入しました。しかし、思うように基準価額があがらず今後の運用について悩んでいます。別の投資対象への資金とするために、解約を考えています。ある程度まとまった金額のために一度に売却するのは二の足を踏んでいます。投資信託の売買の考え方を教えてください。(特に売却の考え方が難しいと感じています。)
<回答>
まず、「一度に売却するかどうか」という点ですが、凄く単純な考え方をしてみましょう。ある年で一番の安値で解約することを避けるにはどうすればいいでしょうか。これはごく簡単に避けることができる方法があります。複数回に分けて解約すればいいだけのことです。二度に分けて解約した場合、全く同じ最安値をつけた日が2日あって、たまたま運悪くその2日に解約してしまわない限り、二度の解約での平均解約単価はその年の最安値よりも高くなります。三度に分ければ更に、ということになります。個人的には、一度に解約するメリットというのは経済的にはあまりないと思います。
次に、いつ解約するかというタイミングの話ですが、こんなことを考えてみてください。良い解約のタイミングというのは要するに「解約した日以降に値段が上がらない」ということではないでしょうか。解約した翌日、値段が上がってしまえば、翌日解約したほうが良かったということになります。売り時というのは、その前までの日々は関係なく、その後の日が決めることなのではないでしょうか。解約して以降、値段が下がり続ければその日が解約の絶好のタイミングだったということになるわけですから。
そうすると、解約の絶好のタイミングを知るには未来の値段を知る必要があるということになります。投資の世界の大原則は「誰も未来を知らない」「誰も明日の価格を知らない」です。つまり、売り時のタイミングをはかることができる人はいない、と私は考えています。
では、実際に解約する時にはどう考えたらいいか。それは、自分がこの資産は今後更に下がっていく、あるいは解約して乗り換えようと思っている資産のほうが今後上がっていく、と考えるならばそう思った時にその資産を売却すればいいのだと思います。もちろん未来のことは分からないので自分が売却した後で値段が上がってしまうかもしれませんが、それはしょうがないことです。未来の値段は分からないのですから。
自分自身の判断に従うより他なく、結果がどうあれそれを受け入れる必要があります。それが投資というものです。「解約すべきかどうか」、はご自分がその資産の今後をどう考えるのか、どういうカーブを描いていくと考えるのかに依存すると思います。従って、自分が保有している資産の今後を見据えるために有用な情報収集を心がけてみてはいかがでしょうか。
コラム執筆:
ジョン太郎
金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。
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