第251回 REIT投資の考え方

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第251回 REIT投資の考え方

<質問>

REIT(不動産投資信託)への投資を考えていますが銘柄選定の際に見るべきポイントはありますか?

<回答>

まず、REITというのは法人税の扱いが特殊な会社の「株式を買う」ものだということをおさえておく必要があります。いろんな不動産をもっている会社の株を買うという意識を忘れてはいけません。ですから、株を買うのと同じような感覚で銘柄を選ぶべきだと思います。


保有している不動産価値はREITの価格と比べて妥当か、保有している不動産の収益力はREITの価格と比べて妥当か、今後の収益力の見通しはどうか、不動産の管理コストや借入金の支払金利などの費用を差し引いた利益率はどうか、キャッシュフローはどうか、資金繰りがきつくなって破綻する懸念はないか(J-REITでも破綻は発生しています)、といった通常の株式の銘柄選定でも必要なことと同様の点を見る必要があります。配当利回りだけを見て買って、1ヵ月後に破綻しました、では目も当てられません。

中でも特に重要なのは、やはり保有不動産の収益力だと思います。REITの場合、収益のほとんどが配当されるため、「REIT価格×配当利回り」でその時点の収益力が測れます。この収益力の推移を見ていくことで、収益力が上がってきているのか下がってきているのかをチェックできますから、各月末でも構いませんので1月末時点の価格×1月末時点の配当利回り、2月末時点の価格×2月末時点の配当利回り・・・という具合に見ていくと良いと思います。そのうえで、今後その収益力は増加していくと考えられるかどうかを考えてみることが大切です。

REITの収益力というのは賃料収入に他なりません。東京でもニューヨークでも、リーマンが破綻した後で誰がリーマンの高いオフィスを借りるのか、リーマンの社員が住んでいた高い家賃のマンションに誰が入るのか、という不動産事業特有の目線からも考えてみると良いと思います。


最後に、REITでよくある誤解が、REITのリスクは株と債券の中間くらいだ、というものです。不動産というリスクの高い事業をやっていて、しかもほとんどの場合借金の比率がかなり高い企業の株式を買うわけですから、ある国のREITの値動きを表す指数は、さまざまなセクターの株で構成されているその国の株式市場の動きを表す指数よりも値動きは大きくなるのが普通です。東証J-REIT指数のリスクはTOPIXよりも大きく、米国REIT指数のリスクは米国株指数よりも大きくなります。更に言えば、米国REIT指数のリスクは新興国株指数よりも大きい値を示しており、これによりリスクが高いことが分かります。


コラム執筆:ジョン太郎


金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

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