第254回 債券を選ぶ時、見ておきたい指標

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第254回 債券を選ぶ時、見ておきたい指標

昨年より投資を始めました。株式投資をしたいなと思って始めましたが、資金もそれほど多くないので、小口で投資できる投資信託を少し保有しています(日本株に投資するファンドです)。債券のファンドを買い足そうと思っていますが、長期的な視点で債券を選ぶ時に最低限見ておくべき、指標を3つ教えてください。

以前、別の方からのご質問で株式ファンドを選ぶ場合に見ておくべき指標を3つ挙げさせていただきました。(前回掲載のコラムはこちら

今回いただいたご質問のどこの国の債券を買うべきかを選ぶ際に見ておくべき指標、外せない指標というのも3つに絞るというのはなかなか難しいことです。また、株の場合と同様に人によって重視する指標は異なると思いますので、あくまでも私の個人的な見解としてご参考にしていただければ幸いです。


まず、債券に投資した場合のリターンの大半はインカムゲインになるのが普通です。債券価格の変動によるキャピタルゲイン/ロス、外貨建て債券に投資した場合の為替変動による為替差益/差損は、中長期的にはさほど大きなリターンを期待できるものではありません。むしろ、インカムゲインで積み上げたリターンをキャピタルロスや為替差損で取り崩してしまわないようにする、くらいの感覚を持っていただくのがよいと思います。


一方、債券投資のリスクは【1】信用リスク、【2】金利とインフレのリスク、【3】為替リスク、に大別されます。もちろん円の投資家が円債に投資する場合は【3】はなくなります。【1】は信用力の悪化で債券価格が下落し、信用力の改善で債券価格が上昇するリスクです。ギリシャ国債の問題は記憶に新しいと思いますがあれが典型です。債券投資=お金を貸すという性質上、最も重要な点と言えます。


【2】は金利上昇によって債券価格が下落してしまうリスク、インフレによって債券の実質価値が下がってしまうリスクです。100円を借りた人はガムが1万円になるほどインフレが進んでも100円を返せばいいというのが借金の原則ですから当然ながら債券にもこの原則が当てはまります。この場合実質的な価値は大きく下がります。【3】の為替リスクはよろしいかと思います。為替変動によって円換算した価格が下がってしまうリスクです。


これら【1】~【3】のリスクを考えるうえで見ておくべき指標を3つに絞るとすれば、【1】予想インフレ率(IMFなどが発表しているものでよいと思います。)、【2】予想経済成長率、【3】CDSスプレッドや格付などの信用力を表すもの、もしくは自分なりの信用力評価(信用力を評価するのに指標を3つで、というのは不可能です)、を私なら挙げます。これらを債券利回りとの見合いで考えればよいのではないでしょうか(分配金利回りではありません)。


また、外貨建ての債券に投資する場合にはこれらに為替市場の規模を加えると良いと思います。


コラム執筆: ジョン太郎
金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

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