第257回 外貨への投資を考える

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第257回 外貨への投資を考える

<質問>

今は、円建て資産しか保有していません。
今後のグローバル化などを考えると外貨(ドル・ユーロ)などへの投資も検討したほうがよいか?と思ったりしていますが、昨今の欧州情勢や米国大統領選などを考えるとなかなか一歩を踏み出すことができません。

<内容>

円建て資産のリターンというのはある程度日本の成長率に影響されると私は考えております。同様に、国の成長率があまりにも低いのに、その国の通貨が生み出すリターンが高過ぎるのは何か異常があると考えています。各国のリターンが綺麗に成長率順に並ぶということはありませんが、過去の各国の資産のリターンと経済成長率を見ると、成長率が高い国のリターンが相対的に高く、成長率の低い国のリターンは相対的に低い傾向が見られます。


国の経済成長率が低いということは、付加価値を生み出す企業の利益もあまり伸びていないということになります。ということは株式のリターンも低くなります。また、そのような状況下で金利が高くては、企業も個人もお金を借りにくくなりますから、高金利状態が続くとは考えにくくなります。また、企業利益や個人の所得が増えて、より高い家賃の家やオフィスを求める人がどんどん出てこなくては不動産価格も上がっていきません。

かつて日本が高い成長率を維持していた時代には、日本の通貨である円のリターンは高い水準を維持していました。円建ての預金でも、国債でも、株でも、不動産のような実物資産でも、とにかく円建ての資産にしておけば高いリターンを享受できていた時代です。郵貯に預けるだけで7%のリターン、国債を買うだけで8%のリターン、といった今では考えられないようなリターンが得られた時代がありました。

その後、日本の成長率が低下すると、円建て資産のリターンも低下しました。預金金利は低くなり、国債利回りも低下し、株式や不動産のリターンも下がりました。

今後の日本の経済成長率が低水準で推移していくと考える人にとっては、その日本の通貨である円の投資のリターンが大きくなるというのは期待しにくいのではないでしょうか。一方、世界には日本より高い経済成長率が期待されている国があります。そういった国々の資産に投資すれば、日本においておくよりも高いリターンが期待できると私は考えます。もちろん、短期的な相場動向というのは、様々なイベントやそれに伴うマネーフロー、市場規模などによって大きく左右されますので、短期的に売買をして投機をして儲けようとする場合にはこういった考え方はあまり役に立たないと思いますが、ある程度中長期的な観点で投資をしてお金を増やそうとする場合には、有効なアプローチの1つだと思います。

目先のイベントであれこれ考えるのではなく、お金を投資してからその投資を終えるまでの中長期的に、「日本はあまり成長しないだろう。でも、この国は日本よりもずっと高い成長を遂げるだろう」と考えることができる国への投資をご検討されてみてはいかがでしょうか。


コラム執筆:ジョン太郎


金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

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