第258回 下落局面でも積立投資は継続すべきか?(JPモルガン・アセット・マネジメント)

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第258回 下落局面でも積立投資は継続すべきか?(JPモルガン・アセット・マネジメント)

新興国株式の積立投資をしていますが、ギリシャ問題に絡んだ最近の相場の下落を見て、少し心配になっています。このまま積立投資を継続すべきでしょうか?それとも一旦中断して、しばらく様子を見るべきでしょうか?

ご質問、どうもありがとうございます。今回は、JPモルガン・アセット・マネジメントの鈴木英典がお答えします。

財政問題に政治問題が加わってきたギリシャの状況を見ていると、心配になるお気持ちは良くわかります。しかし、投資において、もっとも避けなくてはならないのは、足下の市場環境の変化に過度に反応し、感情的になって、長期的な視点を見失ってしまう事態です。そこで、このような時は、拙速に判断を下すのではなく、まずは冷静になって、積立投資を始めたときの目的と計画をしっかり再確認するところから始めるべきです。

そこで、積立投資とはそもそも何かということになりますが、積立投資が機能する条件が2つあります。一つは、「長期的に十分なリターンが期待できる資産」に投資すること、そして、もう一つは、「短期的には時価が上下にかなり変動する」資産への投資だということです。「長期的に十分なリターンが期待できる」資産という条件は説明するまでもありませんが、なぜ、「短期的には時価が上下にかなり変動する」ことが条件かというと、時価が安定的に上昇するのであれば、積立によって投資時期をずらす(時間分散)必要はなく、最初から全額投資すればいいからです。このように考えると、そもそも、積立投資を始めたということは、当初は、「短期的には時価が上下にかなり変動する」ものの、「長期的に十分なリターンが期待できる資産」だと考えていたことになり、ある程度の時価の下落は、当然最初から「想定内」だったということになります。

従って、もし、積立投資を、中断するのであれば、「長期的に十分なリターンが期待」できなくなった、あるいは、「短期的な時価の上下の変動が想定以上に大きくなった」という理由が必要で、現在の状況が、そのいずれかに当てはまるか否かを冷静に判断してください。

それから、最後に、もう一つ、絶対に忘れていただきたくないことは、積立投資の最大の妙味は、このような下落局面で、感情に左右されず、機械的に安く資産を買い増せることです。新興国の長期的な経済成長を考えた場合、このような下落局面は、後から振り返えれば、絶好の買い場だったという可能性もあり、ぜひ、このメリットも踏まえて、判断してください。

相場の先読みは容易ではありません。しかし、ご自身の投資戦略の再確認は、誰にでもできることです。相場が心配になるのは無理もありませんが、今、本当にしなければならないことは、ご自身の投資戦略をしっかりと再確認することではないでしょうか?

コラム執筆:

鈴木英典(すずき・ひでのり)

JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社

投資戦略ソリューション室長

JPモルガン・アセット・マネジメントのホームページにおいて、連載コラム「投資耳(ミミ)」「資産運用の井戸端トーク」を執筆。

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