第261回 国債への投資の考え方

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第261回 国債への投資の考え方

<質問>

昨年投資を始めました。夏の個人向け復興国債か個人向け復興応援国債への投資を検討しているところですが、考え方のポイントを教えてください。

<回答>

預金と国債の違いは何かというと、通常は国債のほうが金利・利回りが高くなります。これは預金と比べてリスクが大きくなるためです。預金も国債も、お金を出す側から見れば「融資」であり、お金を貸すことに他なりません。一方お金を受け取る側からするとお金を借りる、借金に他なりません。預金の場合は銀行にお金を貸し、金利を預金利息として受け取りますが、貸したお金を返してもらえることが1,000万円までは保証されており、途中で換金した場合でも元本が保証されています。

債券の場合は債券の発行体にお金を貸すことになり、国債であれば国にお金を貸すことになります。国債の満期つまり貸したお金の返済日になると国がお金を返すことを約束してくれていますが、ギリシャのように国がその約束を破るようなこともあります。また、途中で換金する場合には国債を誰かに売ることになりますが、この場合には例え1億円を貸した分であっても、1億円で誰かが買ってくれるとは限りません。

例えば国債に1億円投資した時に預金金利が1%で国債利回りが2%だったとしましょう。国債の場合は1億円に対して毎年2%の200万円が受け取れることになります。しかし、国債の満期になる前に1億円の国債を誰かに売ろうとしたら、その時の預金金利が5%になっていたとしたらどうでしょう。国債の買い取りかを検討している人にとっては銀行に預ければ1億円に対して500万円の利息がもらえますが、この国債を1億円で買い取っても当初取り決めた1億円に対する2%、200万円しかもらえません。当然ながらこの国債を買い取ってあげるなら1億円以下ということになるでしょう。これが世の中の金利が変わることによる国債の価格変動リスクです。また、発行体の信用力が落ち、1億円貸したものが返ってこない可能性が出てくると、ギリシャ国債のように国債価格が下落します。これが国債の信用リスクです。この2つが国債に投資する場合の主なリスクですが、もう1つ別の観点のリスクがあります。

それがインフレリスクです。これは預金にもあるリスクです。自分の投資した金額が減ってしまう先ほどの2つのリスクとは性格が異なるリスクで、お金の実質的な価値がインフレによって減ってしまうリスクです。預金も国債も借金ですから、インフレがどんどん進んで、極端な話、ジュースが1本1億円になろうとも1億円を借りた人は1億円を返せばいいのです。今1億円を貸した人が、ジュース1本1億円になった時代に1億円を返してもらった場合、元本は確かに減っていませんが、実質的な価値は大きく落ちています。今なら1億円で立派な家が買えますが、そのお金がジュース1本しか買えないお金になってしまうわけですからね。このリスクは預金にも共通しますが、前述の2つのリスクは国債のリスクであり、このリスクをとる代わりに預金よりも高い利回りが期待できます。これらのリスクをとっても、預金より良い利回りを期待したいという場合には国債を検討すると良いのではないでしょうか。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

※お取引の際には、個人向け国債取引に関する重要事項をご確認ください。

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