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<質問>
20代後半 男性の投資初心者です。比較的低コストから投資ができるようなので、投資信託で投資を始めたいと考えています。しかし、投資信託には多数種類があり、投資手法が異なるもの、投資対象が全世界に広がっており、また、分配金のあるなし・分配の頻度などもそれぞれ異なっているようです。選ぶことが難しく悩んでいます。
私のような、比較的若い世代の投資先の考え方の例を教えてもらえないでしょうか。
<回答>
投資信託は国内にあるものだけで数千本あるわけですから、この中から自分の考えに合ったものを選ぶというのは大変です。多くの人が分配金のある・なし、分配の頻度、分配の金額、で選んでいるのが現実ですが、こういった点での比較は一番後回しにするべき項目だと私は考えます。投信の分配金は一部解約に他ならず、これらの項目は自動一部解約の有無・その頻度・その金額に過ぎないからです。それよりも投資のリターンを大きく左右するもので選ぶべきです。
投資のリターンを決める最大の要因は、どの資産にいくらずつ投資するかという資産配分(アセット・アロケーション)といわれています。例えば選択肢が日本株と日本国債と外国株式、外国国債の4つしかなかったとしましょう。投資する期間を10年として、10年間のそれぞれの資産のリターンが日本株:-20%、日本国債:+15%、外国株式+30%、外国国債:+20%、だったとします。
日本株に投資するファンドが10本あったとして、最高リターンを出せたファンドが-10%、最低リターンのファンドが-30%、インデックスファンドのパフォーマンスが-20%、とします。すると、仮に最も良いパフォーマンスのファンドを仮に選ぶことができたとしてもリターンは-10%です。一方、日本国債のファンド10本のリターンが+10%~+20%、外国株式のファンド10本のリターンが+15%~+45%、外国国債のファンド10本のリターンが+10%~+30%、だったとすると、「どの日本株ファンドに投資するか」を懸命に選ぶよりも、「日本株以外の資産に投資しなくていいのか」「4資産に投資するならそれらをどういう比率で組み合わせるべきか」を懸命に考えるべきです。
資産ごとのリターンの差は、同じ資産に投資する複数のファンド間のリターンの差よりも大きくなる傾向があり、投資期間が長くなるほどその傾向が強くなります。若い世代の方であれば投資期間は長くなりますので特に注意が必要です。また、先ほどの例で、もし分配金のたくさん出るファンドが日本株ファンドにしかなかったとしたら、分配金の高いファンドの中から選びたいとすると必然的に日本株ファンドの中から選ぶことになってしまい、結局どのファンドを選んでもリターンはマイナスということになってしまいます。
ですので、まずはどの資産にどのくらい投資するか、を考えるべきだと思います。資産の選び方はまずは株と債券の組み合わせで決めるとよいと思います。この2つで比較すると、株のほうがリターンが高く、値動きが大きく、インフレに強く、債券のほうがリターンが低く、値動きが小さく、インフレに弱い、が原則です。
「どの国を選ぶか?」はご自分が今後成長していくと考える国を優先しながら、あまり投資先が集中しすぎないように分散していくと良いと思います。
コラム執筆:ジョン太郎
金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。
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