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ギリシャの総選挙では、かろうじて緊縮派が勝ち、ホッとしたのも束の間、今度は、スペインが、不良債権に苦しむ銀行救済のための支援をEUに要請したりと、文字通り、次から次に問題が噴出していますが、少しは解決に向かっているのでしょうか?
ご質問、どうもありがとうございます。今回は、JPモルガン・アセット・マネジメントの鈴木英典がお答えします。欧州の債務問題は、様々な事情が非常に複雑に絡み合った状況なので、解決に向かっているのか、そうでないのか、人によって判断が違っているようです。そこで、この問題を見ている方々の総意が反映されている金融市場の動きを通して現状を評価してみましょう。
まずは、株式市場の変動率を見てみましょう。ギリシャ問題の深刻さを市場が認識した2011年の夏も、再び騒がれた2012年の連休明けも、株価が下がったという点では大差はありません。しかし、株式市場がどの程度激しく上下に動いたかを表す変動率を米国株(※ダウ・ジョーンズ・インデックス)で見てみると、2011年夏には40%を優に超える水準にまで上昇していた数値が、今や、2011年の半分以下の20%以下に収まっています。つまり、2012年の株式市場は、2011年ほど、この問題で右往左往していないということになります。
この変化は、恐怖指数と呼ばれる、金融市場の緊張感を示す指数にも明確に表れています。高ければ高いほど市場の警戒感が高まっていることを示唆する、この恐怖指数は、2011年夏、40を超える水準にまで上昇しましたが、今は、当時の半分程度の20ぐらいで推移しています。つまり、この指数で見ると、金融市場は、2011年ほど、欧州債務問題から衝撃を受けていないということになります。
さらにドルの短期金利は、米中央銀行が金融緩和政策を継続していたにも拘らず、年末にかけ0.6%近くにまで急上昇しましたが、今は、0.4%台で落ち着いた動きになっています。つまり、銀行間でのクレジットに対する不安はやや和らいでいるということになります。
このような市場の数値の変化は、徐々にではあるものの、欧州債務危機に対する様々な備えが整いつつあることを市場が織り込み始めているのではないかと考えられます。特に、欧州中央銀行による長期リファンナインス・オペ(LTRO)は効果が高かったといわれています。もちろん、これらの政策によって欧州債務危機が一気に解決に向かうというわけではなく、まだまだ、長い道のりが残されているものと思われますが、このような去年と今年の違いを見るにつけ、複雑に絡まった糸が、徐々にではあるものの、ときほぐされつつあるのではないかと感じられます。
コラム執筆:
鈴木英典(すずき・ひでのり)
JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社
投資戦略ソリューション室長
JPモルガン・アセット・マネジメントのホームページにおいて、連載コラム「投資耳(ミミ)」や「資産運用の井戸端トーク」を執筆。
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